2014年11月26日(水) 20時31分

「物語」を楽しむ「日本のゲーム」は復活、そして進化できるのか。 『428 〜封鎖された渋谷で〜』のイシイジロウ氏と編集工学者 松岡正剛氏特別対談レポート

サイバードは 11 月 26 日、「知の巨人」とも称される著名編集者で、サイバードのスマホアプリ『謎解き物語「NAZO」』の監修も務める松岡正剛氏と、Wii  用ソフト『428 ~封印された渋谷で~』の総監督も務めたゲームクリエイター・イシイジロウ氏との特別対談を実施。長年「物語」の創出に携わってきた二人が、現代における「物語」の変化、可能性などについて語った対談の模様をお伝えする。

 

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▲(左から)田下 広夢(たおり ひろむ) 氏 / 松岡 正剛 氏  / イシイ ジロウ 氏

 

松岡氏が所長を務める「編集工学研究所」の、まるでファンタジーRPG に出てくる賢者の部屋のような一室で開催された今回の対談。

ゲーム業界について幅広いメディアで執筆するフリーライター 田下広夢氏の進行のもと、編集者の立場から松岡氏が、ゲームクリエイターの立場からイシイ氏が「ゲームにおける物語とその可能性」について 1 時間にわたって語った。

 

ゲームならば多層的に物語をインタラクティブに体感させることができる

 

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「ゲーム」を「電子書籍」として見た時に、そこで展開される「物語」をどのように見てきたかと問われた松岡氏は、「インベーダーゲーム」の大流行をきっかけにゲームが持つ「ユーザー」と「物語世界」との直接的なインタラクション(相互作用)に衝撃を受けたと述べてから、「ゲームならデバイス・プログラムに応じてより多様な形で物語をインタラクティブに体感させることができるのではないか。本とゲームを統合できる時期が来ているのではないか」と『謎解き物語「NAZO」』に携わった経緯について説明。

その上で、『謎解き物語「NAZO」』においては、活字に限らず様々なメディアがフレームとなり、その中のコンテンツとして「物語」が提供されている現状を踏まえ、「ゲーム」の中に「劇場」というフレームを用意し、さらに劇場の中で語られる物語(テキスト)を複合的に組み合わせ世界観・物語を監修したと述べた。

 

ゲームの中で物語を表現する上で、出版との違いは?

 

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続いて「ゲーム」を通して「物語」を作って来たイシイ氏は、ゲームならではの「分岐シナリオ」を書くことで「ループ」という概念にたどり着いた述べ、「ゲームであればユーザー自身が『物語』の面白い所をもっと広げることができる」ことが小説や映画との一番の違いであると説明。

またゲームの「物語」で素晴らしい所は「ストーリー」ではなく観客・ユーザーの反応により変化する「ストーリーテリング」だとしたイシイ氏は、海外はより「ナラティブ」な体験を重視するリッチゲームに移行しているのに対し、日本のゲームは「物語」を語ることで新しい可能性を追求する「ストーリーテリング」だと述べ、『弟切草』などの「サウンドノベル」というジャンルが日本で生き残り、さらに低予算で開発できるため数多くの実験的な「ゲーム物語」が誕生した日本は、海外ゲームが捨てた「ストーリーテリングの可能性」において海外ゲームよりも優れていると語った。

 

「物語」が成立するゲームデザインを目指して

田下氏から、コンシューマーゲームと比較した際のスマホゲームの「物語の薄さ」について問われると、イシイ氏は「スマートフォンに物語が導入できないのは『物語のマネタイズ化』ができていないことが原因」と説明し、一部のゲームを除き「物語を売る」というモデルがスマホアプリマーケットで必要とされていない中、「物語」をどうやってマネタイズしていくかは、キャラクターと物語の連動などを含め今後の課題であるとした。

最後にイシイ氏は「『物語』が成立するゲームデザイン」をテーマに挙げ、物語が生まれるゲームデザインを日本のゲームクリエイターとして世界に先駆け手に入れたいと述べ、松岡氏も「ゲームエディティング」という形でゲームを「編集」の対象とし、様々なメディアリミックスを起こしていくことに是非挑戦したいと語った。

その他にもサウンドノベルで体験できるリズムゲームとしての魅力など、多岐にわたるテーマで繰り広げられた今回の対談。後日動画配信も予定されている。松岡氏が物語監修を務める『謎解き物語「NAZO」』も現在好評配信中。

 

◆『謎解き物語「NAZO」』のダウンロードはこちら

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