2014年06月02日(月) 13時00分
  • INTERVIEW

【Creator’s Voice】株式会社SummerTimeStudio 代表取締役社長 弘津 健康氏インタビュー第二回「開発技術力向上のための挑戦 Glu・Unityとの提携の先にあるもの」


SummerTimeStudio代表取締役社長 弘津健康氏へのインタビュー第二回。今回は北米の大手モバイルゲームデベロッパー・Glu Mobileやユニティ・テクノロジーズ・ジャパンとの業務提携についてお聞きしました。

 

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株式会社SummerTimeStudio
代表取締役社長
弘津 健康氏

 

Glu Mobileとの提携 会社としてのステップアップとは

 

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-9-Bit:すでに発表されているGlu Mobile Inc.(以下「Glu」)との提携について、詳しい内容をお聞かせください。

 

-弘津健康氏(以降、弘津氏):今回の提携はゲーム開発技術の提携になっておりまして、具体的にはGluが日本でリリースするゲームをSummerTimeStudioにて開発、カスタマイズ、ローカライズするという内容となっています。

 

―9-Bit:今回の提携に至るまでの経緯はどのようなものでしょうか?

 

―弘津氏:これはグローバルでゲームを配信されている方には一般的な考えかと思いますが、各地域の市場に合わせた独自の仕様も含めてローカライズしなければ普及しないという事実があり、そのローカライズにおいての重要な要因として、開発技術力のレベルがあると思っています。

Gluは、Unityを利用したモバイルゲームに関しては世界最先端・トップクラスの開発技術があり、Gluのゲームの全てに非常に高いレベルの開発技術力がつぎ込まれています。

そのようなゲームを、Gluの要望に沿ってローカライズするには、Unityの経験・開発技術力が少ないところでは対応が難しいんですね。

SummerTimeStudioでは起業以来3年にわたってUnityに特化し、社内外のタイトルを30本以上開発しながらトライ&エラーを繰り返し、独自の開発リソースと実践ノウハウを貯めてきました。

その開発技術レベルをGluに認めて頂いて、今回の提携に至ることになりました。

 

―9-Bit:アジア・日本向けにレベルの高いローカライズをしたいというGluの思惑と、SummerTimeStudioの技術が合致したというわけですね。

 

―弘津氏:はい。このようなパートナーとして認めて頂けるだけで、大変嬉しかったです。

両者にUnityという技術が共通のベースにあったからこそ繋がった提携でした。

そもそも世界中に様々なゲーム開発エンジンがある中で我々がUnityを使用していなかったら、このようなお話すらなかったでしょうから。

私達にとって今回の提携は、Gluがスマートフォン向けゲームで既に実現しているハイレベルな処理を「Unityでどのようにそういった処理をしているのか」など開発技術をゼロから勉強させて頂くことになりますので、非常に大きなメリットを含んでいます。

実際に他社の開発ソースを生で見られるという事はあり得ないレベルの話ですから。

単純に業務としての一環だけではなく、会社として技術力のステップアップに繋がるということで今回の提携となりました。

 

―9-Bit:提携のお話が来た時は驚いたんじゃないですか?

 

―弘津氏:かなり驚きました。Gluのゲームは当社がまだ5~6名だった頃に社内で大流行していて、

実は当社の『Okinawa’s Summoner』はGluの『サムライvsゾンビ』に思いっきり影響を受けていましたので「オマージュさせて頂きました!」とGluにも伝えました(笑)

 

『Okinawa’s Summoner』

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『サムライ vs ゾンビ』

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『サムライ vs ゾンビ 2』

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―弘津氏:その頃からすると「まさかGluと業務提携ができるなんて!」という感じですね。まさか上場企業がこんな沖縄の小さい会社に提携を持ちかけてくるなんて、思いもしませんでしたから。

 

―9-Bit:今回の提携で、特にメリットと感じたのはどういうところですか。

 

―弘津氏:Unityの世界最先端の技術を学べることも勿論ですが、世界のトップランナーの開発者がどのレベルにいるのか、自分達はどのあたりのレベルなのかという立ち位置を知ることができるという事です。

それによって技術面の明確な目標を持つことができますし、当然ですが私達ももっと努力しなければならないという事を再認識できました。

今はGluのゲームのローカライズをしているのですが、とんでもないレベルで、すごく貴重な勉強をさせて頂いております。

Unityを共通項にすることで彼らと対話している感じが大変面白いですね(笑)

 

Unityとの提携 このチャンスをどう捉えているか

 

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―9-Bit:ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社(以下「ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン」)とも提携が発表されておりますが、こちらの詳しい内容もお聞かせください。

 

―弘津氏:こちらは、プレスリリースでも発表をさせて頂きましたが、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンと、優れた国内外のインディーズゲームの販売展開をサポートする“Unity Games Japan”プロジェクトに関して、Unityで開発されたタイトルのローカライズや様々なプラットフォームに向けた開発移植で相互に協力・推進していくことになっています。

 

―9-Bit:具体的にはどのような業務になるのでしょうか。

 

―弘津氏:Unityで開発されたゲームのiOSやAndroid・PSN・ニンテンドー3DSへの移植を手がけていきます。

Unityは様々な地域・プラットフォームに展開していきますので、その一端を開発面でSummerTimeStudioも協力していく、という感じですね。

 

―9-Bit:そうなるとスマホゲームに留まらない、かなり大きな事業になりそうですね! では今後SummerTimeStudioもコンシューマゲーム等、スマホアプリ以外の開発も予定されているんでしょうか?

 

―弘津氏:今のところ予定があるわけではありませんが、将来的にそういった可能性もあるのかな、と。今回の提携はビジネスのスキームも今までやってきたような自分達でUnityを使ってゲームを作ってリリースするというものとは勝手が違うので、非常に難易度が高い取り組みだとは思います。

ですが、今回の提携によって新しいビジネス展開だけではなく「Unityで何ができるかを正確に把握していく」といったUnityに関する知識・技術が広がることを期待して取り組んでいきます。

 

―9-Bit:つまりGluとの提携もユニティ・テクノロジーズ・ジャパンとの提携も、SummerTimeStudioにとっては開発技術の向上というのが最も大きな目的で、それにビジネスがくっついてきているというイメージなんですね。

 

―弘津氏:そうですね。どちらの事業も当社にとってはUnityの理解度を高めるのが一番大きな成果になると考えています。確かに大きなビジネスチャンスでもありますが、本質的には自社の開発力を上げるという部分に直結している話ですね。UnityはUnity Technologiesが開発したものですから、それを使って何ができるかを一番よく知っているのは当然彼らです。そのノウハウを吸収することができるというのは当社にとっても非常に大きなメリットですね。

 

―9-Bit:今回の提携が実現したことでわかるように、すでにSummerTimeStudioは国内でもトップクラスの高いUnity技術を持っていると言っても過言ではないと思いますが、お話を聞いていると、とにかくUnity開発の技術力を上げることに非常に注力しているように感じますね。

 

―弘津氏:でも私達は2~3年後には今持っている技術が他に追いつかれると考えています。今までUnityを中心に突き詰めてやってきたわけですから自分達の技術力には自信を持ってはいますが、それに満足して立ち止まってしまうわけにはいかないんです。それに、ユーザーの嗜好も変わっていきます。技術で追いつかれて、表現もユーザーの嗜好に合わなくなって、それで取り敢えずゲームは作れても期待に応えられないものしか作れなかったら私達の存在価値はなくなってしまいます。

ビジネスの手法で勝負するのはいつでもできますので、今はあくまで「技術力・開発力で常に最先端にあり続けるためにどうしていくか」というのが行動原理になっています。10年後、15年後もゲームを作っていきたいので、大きく儲けなくても会社として持続できる利益を如何に出し続けるか、そのためには今持っている技術をどこまで高めていけるかを常に考えなければならない。

今はGluやユニティ・テクノロジーズ・ジャパンにご協力を頂いて、2~3年先の準備をしている、という段階ですね。他に追いつかれてしまわないために!(笑)

 

―9-Bit:今回、次々に業務提携を進めているのは、一見ビジネスを拡大していくためのいわば山っ気のある話のように見えますけど、実はその根底にはゴリゴリの技術者魂に満ち溢れていたという事なんですね。

 

―弘津氏:そうですね。技術力を上げていく可能性のあるお話であれば、今後もこういう機会には積極的に取り組んでいきたいです。やっぱりゲーム開発というのは技術力があるかどうかが重要なんですよ。技術力・表現力はあるけどハードのスペックの都合等で出せないのと、力がないから出せないのは大きな違いですから。できれば将来的には「うちではここまでできるけどこれくらいに抑えた方がユーザーにとっては一番おもしろい」という事ができるような開発力をつけていきたいですね。

 

 

技術力向上に対してどこまでも貪欲ですね!

今回の大きなチャンスもビジネスとしてというよりは開発技術の向上として受けていたとは…

その開発に対する熱意には頭が下がります。

 

第三回に続く。

 

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