2014年05月26日(月) 12時00分
  • INTERVIEW

【Creator’s Voice】株式会社SummerTimeStudio 代表取締役社長 弘津 健康氏インタビュー第一回「SummerTimeStudioが重視するものづくりの概念」


沖縄に本社を構えるSummerTimeStudioが今年東京支社を設立。また近日新規タイトルを続々配信予定ということで、代表取締役社長 弘津健康氏にお話を伺ってきました。インタビュー第一回ではSummerTimeStudioがどういった会社なのかを詳しくお訊きしました。

 

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株式会社SummerTimeStudio
代表取締役社長
弘津 健康氏

 

SummerTimeStudioができるまで 本社が「沖縄」にある理由とは

 

-9-Bit:最初に、SummerTimeStudio設立前の弘津様御自身のご経歴を教えてください。

 

-弘津健康氏(以降、弘津氏):10年以上も前になりますが、ゲーム業界に入る以前はIT系で宿泊予約ベンチャー企業に勤めておりまして、ベンチャーの言葉通り、ITバブルの時代でもあったので、年間300日ぐらい会社に泊まるほど仕事をしておりました。ですが、もっと違うアプローチで仕事をしていくという事を考えるようになりまして…

 

-9-Bit:というのは?

 

-弘津氏:その会社で取り扱っていたホテル自体は自分たちのものではなく、あくまで自分達は仲介するだけ。そうなると、自分達で企画やコンテンツを作ってもユーザーに直接届けるのが難しいというジレンマを感じるようになっていったんですね。それでもっとお客様に近いところからサービスや商品を届けたいという思いが強くなってきまして、「ものづくり」をやっていきたいと思っていました。

そういう思いから、当時は、日本に上陸したばかりの韓国のオンラインゲームのコンサルティングや運営をしている会社に転職しまして、そこからゲームと関わるようになりました。

しかし、その会社でもゲーム開発は韓国の各デベロッパーがやっていましたので、自分がゲームでこういう企画をやりたいと思っても全部が反映されるわけではありませんでした。

自分のやりたいのは、自分でゲームを作るということなんじゃないかと意識し始めたのはこの頃ですね。

その後、家庭用ゲームの開発をしていた会社で新規事業としてスマホ事業の立ち上げをやっていましたが、当時は殆どの家庭用メーカーでスマホゲーム事業に懐疑的だったという事もあり、あまり積極的に進めることができませんでした。

でも個人的には「スマホで、クオリティの高いゲームの時代が来る」という思いが自分の中にありましたので、在籍していた会社にわがままを聞いて頂いて、株式会社SummerTimeStudioを設立しました。

 

-9-Bit:それまでは東京で仕事をされていたんですよね。それなのに、何故沖縄に会社を設立されたんですか?

 

-弘津氏:会社を設立したのが2年半で、沖縄に移転してからは2年ほど経っているんですが、実は私自身は10年前に沖縄に住民票を移していたんです。

 

-9-Bit:え? それは一体何故…

 

-弘津氏:キッカケは、とある旅行番組でした(笑)。日曜に偶然つけていたテレビで沖縄についてやっていたのを見て「沖縄行ってみたいな」と突然思い立ち、翌日の月曜には沖縄に行ってしまいまして。沖縄ってお隣さんとも気軽に話したり、外国人コミュニティーとの交流もちゃんと行われていたり、刺激的な文化がある場所なんです。湿度が高いので花粉もありませんしね(笑)。それですっかりハマってしまいまして、結局家族全員で引っ越したんですが、家族もすぐに気に入ってしまいました。

当時移住してしばらくは私も沖縄の会社で働いていたんですが、そこでは東京にあるサービスを沖縄で提供するという仕事ばかりで、ビジネスとしてのレベルも低かったし、新規事業を立ち上げるというような刺激的な仕事ができなかったんです。それでは面白くないなと思って、それで私だけ東京に単身赴任して先程お話ししたゲーム会社で働いていたんです。

 

-9-Bit:という事は、弘津さん自身にとっては沖縄には「帰る」という感覚だったわけですね。

 

-弘津氏:そうなんですよ。最初に2名でSummerTimeStudioを立ち上げて、半年後に5名ぐらいになった時に、「会社の場所はどこにしようか」という話から「働く場所なんてどこでもいいよね」という話になり、私は沖縄に家族がいますから沖縄に戻ろうかなと話したら「じゃあ俺も」「俺も」と全員沖縄に来ることになっちゃいまして(笑)。

そうなると東京の事務所には誰もいなくなってしまうことになってしまいましたので、思い切って本社を沖縄に移転することにしました。

実際、沖縄に本社を移したことで「沖縄にある面白い会社」として覚えてもらえるので、一つの特色として面白いかなとも思っていました。

 

-9-Bit:そうだったんですね。一方で今年東京支社を立ちあげられたわけですが、また東京に拠点を持つことにしたのは何故ですか?

 

-弘津氏:マーケティングの強化、つまり沖縄で作ったコンテンツをどう広げるか、という点に力を入れるためですね。

コンテンツを沖縄で作って発信しているだけだと、ビジネス面をどのように展開して広げていくかがなかなか難しいんです。メディア・媒体も多いし、入ってくる情報量の多さから言ってもやはりビジネスの中心は東京ですから。そのため、ビジネスの開拓を行う拠点として東京支社を立ち上げました。

 

自由な開発現場 SummerTimeStudio唯一のルールは「みんなでランチ」!

 

-9-Bit:SummerTimeStudioではどのような開発体制をとっていますか?

 

-弘津氏:弊社の開発の最も大きな特徴は「Unityで開発をする」という点でして、Unityを使うことを基準に開発の手法や体制を構築しています。勿論昔ながらのゲーム開発の体制・文化の良い点・悪い点も理解はしていますので、そこの良い点は取り入れつつUnityの理念に反するものは入れない、という考えで開発システムを練り上げていきました。

 

-9-Bit:Unityの理念というのは、具体的にはどういう事なんでしょうか。

 

-弘津氏:Unityにはコミュニティーのメンバー間で相互扶助する、ゲーム開発の民主化というのが基本理念としてあります。

我々の開発手法はいわゆるアジャイル開発なんですが、従来のゲーム開発では例えば「デザイナーが作った素材をプログラマーに渡したら終了」というようにそれぞれの役職の役割がしっかり区切られていましたが、Unityを使っていると「本来プログラマーがやることだけどデザイナーがここまでは作ることができる」という部分が結構ありまして、そうするとデザイナーも今まで以上に自分が好きなように作ることができますし、プログラマーの手間も省ける部分が出てきますので「ここまでやってくれてありがとう」と感じられる連鎖が出来上がってきます。

そういう気持ちを大事にして、仕事の中で仲間に対する「ありがとう」という気持ちを表に出していこう、という意味合いを込めて当社の開発体制は「Thanks開発」と呼んでいます。まあ、「アジャイル」って言われてもピンとこないですしね(笑)。

 

-9-Bit:会社の雰囲気が良くなりそうな名前ですね。実際、SummerTimeStudioの社内はどういう雰囲気なんですか?

 

-弘津氏:和気藹々としていますよ。弊社は基本的に社則とか決まりみたいなものがない会社なんですけど、唯一あるルールというのが「ランチを全員一緒に食べる」という事なんです。やっぱり一緒にご飯を食べるのが仲良くなるには一番ですから(笑)。なので、社員同士の仲も良いです。

 

-9-Bit:社則がないと聞くと、自由を通り越してゆるゆるになってしまう気もしますが…

 

-弘津氏:意外と「朝出社して夕方退社して」という働くサイクルはみんな変わらないので、決められたルールが無くても大きな遅刻や無断欠勤はありませんね。ルールで縛らない分、各々が自発的に縛りを生み出しているという環境になっているんだと思います。

仕事では「作り手の想いが、ゲーム画面を通じてユーザーに伝わる」という事をゲーム作りの概念として大切にしています。作業として作ってしまうとユーザーにゲームの面白さやノリが伝わらないので、作り手としての感情をゲームの中にしっかりと入れていくことを社員全員が意識しています。

また、弊社にはプランナーという役職のスタッフがいなくて、プログラマーやデザイナー自身がどういうゲームを作るか話し合いながら作っています。全員がプランナーとしての役割を担うことで、それぞれのクリエイティブを発揮して面白いゲームを作り出してほしい、というのが私の考えなんです。

会社としても仕事の面でもきっちりした枠組みがないので、配信しているゲームからもわかるようにマイペースな雰囲気の会社ですよ(笑)。

 

-9-Bit:沖縄のオフィスがどういう感じなのかあまり想像ができないのですが、SummerTimeStudioのオフィスはどういう感じなんですか?

 

-弘津氏:実は昨年までいたオフィスは建物としては大変に面白い場所だったのですが、築約35年の物件で老朽化による雨漏り等がありまして… さすがにサーバーやPCのデータが飛んでしまってはまずいということで、最近それまでの北谷町から宜野湾市に移転したばかりです。

海から遠くなってしまいましたので「浜辺でビール片手にミーティング」なんていうことはできなくなってしまいましたが… まあ実際には1回くらいしかやったことがないですけど(笑) 今度の新しいオフィスでは2階にワークスペースがあり、そのワークスペースより広い1階に社員用のゲームセンターを作っておりまして、ゲームが本当に身近にある職場環境になってますよ。

 

職場にゲーセンがあるなんて驚きですね。

「ゲーム好きが楽しく仕事ができる環境」に徹底的にこだわっているようです。

是非、本社の方にも一度お邪魔したい!

 

第二回に続く。

 

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