2014年05月08日(木) 10時00分
  • INTERVIEW

【Creator’s Voice】株式会社Aiming 代表取締役社長 椎葉 忠志氏インタビュー 第二回「プレイヤーに長く楽しんでもらえるゲームを “スーパーゲーマー集団”のゲーム開発」

株式会社 Aiming 代表取締役社長 椎葉忠志氏のロングインタビュー第2回は、2013年末にリリースされた2タイトル『ログレス』『ヴァリレギ』を中心に Aiming のゲーム開発・運営の裏側について聞く。

 

第一回「Aiming が目指すカジュアルゲームを体現する新作2タイトルとこれからのスマゲ開発」

 

aimingshiiba_02_01

株式会社 Aiming
代表取締役社長
椎葉忠志氏

 

『ヴァリレギ』と『グリフォン』で見出した Aiming の新しい方向性 -アクション RPG-

 

-9-Bit:昨年末にアクション RPG『ヴァリアントレギオン』(以下『ヴァリレギ』)と MMORPG『剣と魔法のログレス いにしえの女神』の2タイトルがリリースされてから3~4ヶ月が経過しましたが、ここまでのそれぞれの状況は如何ですか。

 

valiantlegion_icon

家庭用ゲーム機さながらの操作感で爽快なアクションを楽しめる 3D アクション RPG『ヴァリアントレギオン』。魔王軍に侵略された地を取り戻すため、バラエティに富んだダンジョンを攻略してキャラクターを強化しよう。ギルドの仲間とチームを組んで他チームと戦う対戦バトルも熱い。

val0206_04

val0206_02

 

-椎葉忠志氏(以下「椎葉」):Aiming のゲームは大体スロースターターな場合が多くて、大抵リリース以降徐々にユーザー数や売上が上がっていって、しばらくしてからピークに達するというケースが多いんですね。その点では、まず『ヴァリレギ』はうちらしい、いつも通りの立ち上がりでした。

 

-9-Bit:なるほど、『ヴァリレギ』もスロースタートだという事ですね。ですが、その点はあまり否定的には捉えられていないようですね。

 

-椎葉:ゲームのボリュームが大きいですし、オンラインゲームではこういう動きをすることは普通ですから。今はゲームの改善を進めているところなのですが、やっと想定している内容の半分くらいまで出来上がったというところですのでこれからまだまだ伸びていくでしょう。

 

-9-Bit:iOS と Android ではどちらの方が好調なんでしょうか。

 

-椎葉:現状では Android の方が好調です。売上ランキングは iTunes の方が注目されやすい傾向にありますので、恐らく他に思われているよりは好調に推移しています。

 

-9-Bit:Aiming と言うと『ブラウザ三国志』を筆頭に「シミュレーションに強い」というイメージがありますが、『ヴァリレギ』のようなアクション性の高い 3D RPG を出して何か感じられた事はありますか。

 

-椎葉:スマホでハクスラ型、3D、そして完全リアルタイム通信というシステムのゲームは国産ではもちろん、海外製のゲームでもまだまだ少ないと思いますが、『ヴァリレギ』は他と比べてもアクションゲームとしての出来は非常に良いと感じています。本来スマホのインターフェースではアクションゲームの面白さは感じにくいものですが、『ヴァリレギ』は長時間プレイしても楽しめる良作に仕上がりましたね。作ってみて色々と課題も出てきましたが、一方で実際にゲームをリリースすることによってこのジャンルはまだまだ伸びるという手応えも感じられましたので、今後も 3D アクション RPG には注力していきたいと考えています。そのためにはこの『ヴァリレギ』、そしてセガネットワークスと協業で展開している同ジャンルの『幻塔戦記 グリフォン』をしっかりと作り込んで、Aiming の柱となるジャンルの1つとして育てていきたいですね。

 

-9-Bit:私も『ヴァリレギ』をプレイしてますが、アクションゲームとして本当によくできていますよね。スマホのアクションゲームはどうしてもバーチャルパッドというインターフェースの特性上レスポンスがいまいちしっくりこないことが多いのですが、『ヴァリレギ』ではそのストレスを感じにくいなと思います。

 

-椎葉:当社にとっても本格的なアクション RPG は処女作ですし、まだ改善すべき点は多いですけどね。もう1つ、スペックの問題もあります。『ヴァリレギ』では iPhone5 以上を推奨しているのですが、実際 iPhone4S ではかなり厳しいんですよ。4S ユーザーが 5 に変えると、相当違うゲームに感じられるのではないかと…

 

-9-Bit:そんなに違うんですか?(※筆者は 5 ユーザー)

 

-椎葉:ええ。アクションゲームはレスポンスが面白さの肝の1つですから、そこが損なわれるというのは痛い部分ですね。とは言うものの、ハードウェアのスペックは今後上がっていくでしょうから、時間が解決してくれる問題ではあると思いますし、『ヴァリレギ』の出来からすると今後ハードのスペックが上がったとしてもこのジャンルで面白いゲームを出していけるという確信は得られましたよ。

 

-9-Bit:ところで、同じくアクション RPG でセガネットワークスと協業の『幻塔戦記 グリフォン』(以下『グリフォン』)も現在展開中ですが、そちらの現在の状況は如何ですか。

 

gentousenkigriffon_1030_icon

幻想的なグラフィックと迫力溢れる演出で爽快感溢れるベルトスクロールアクション『幻塔戦記 グリフォン』は最大4人の仲間とリアルタイム協力プレイで楽しむことができるオンラインアクション RPG だ。最大30人のギルドを結成して、ギルド対ギルドのバトルも楽しめるぞ。

aiming_griffon_main

aiming_griffon1 aiming_griffon2

 

-椎葉:『グリフォン』もリリース当初はスロースタートでしたが、半年程かけて内容を改善していくことで良い結果が出るようになってきました。グラフィックは 3D でこれだけ多くのキャラを一度に出しているゲームとしては世界レベルから見てもかなり上位にあると思いますし、システム面でも『League of Legends』風のギルドvsギルド対戦システムを筆頭に高い評価をいただいていますね。

 

-9-Bit:ギルド対戦はリアルタイムで仲間と協力できるところが楽しいですよね。

 

-椎葉:リアルタイムで全員が集まって戦わなければならないというところは実際面倒ですけど、人気は高い。こういうスマホには一見向かないようなシステムでも受け入れられるんだなと思いました。

 

-9-Bit:今後はどのように運営を展開されていく予定ですか?

 

-椎葉:システム面は安定してきましたので、今後は新しいクラス、マップ、敵を増やしてプレイのバラエティを増やしていく方向を強化していきたいと考えています。

 

PC ゲームの蓄積が産んだヒット『剣と魔法のログレス いにしえの女神』

 

-9-Bit:次に『剣と魔法のログレス いにしえの女神』(以下『ログレス』)についてお話を伺います。『ログレス』のリリース以降の評判は如何ですか?

 

kentomahouroguresu_icon

剣と魔法で戦う王道オンライン RPG。プレイヤーはログレス王国のハンターとなりクエストに挑戦することで、物語の真相に迫っていく。戦略性に富んだリアルタイムバトルを勝ち抜いて、広大なフィールドを仲間と一緒に冒険しよう。

roguresu_01

aiming_rogles1 aiming_rogles2

 

-椎葉:おかげさまで『ログレス』はリリース当初からランキングの上位に入っておりまして、予想以上の結果に驚いているくらいです。

 

-9-Bit:先程「Aiming のタイトルはスロースターター」とおっしゃっていた事から考えると、「Aiming らしからぬ」と言っていいみたいですね。

 

-椎葉:現状でゲームとしての完成度は 30% くらいなんですね。ギルド・クランもないし、レイドボスもない。MMORPG としての機能はまだ全然足りていないのに、ユーザーには本当に楽しんでいただいているようで、正直に言うと意外ですね。

 

-9-Bit:椎葉さんとしては完成度がまだ低いと思われているにも関わらず、好調な理由は何でしょうか?

 

-椎葉:『ログレス』は今のスマホユーザーのカジュアルさに寄せて開発したタイトルなのでゲームを始める敷居が低い一方で、グラフィックのボリュームが多いので何かを達成した時に得られる報酬がリッチに感じられるというところがユーザーにうけたのではないかなと思います。元々『ログレス』は PC ブラウザゲーム『剣と魔法のログレス』のスマホ版として開発されたゲームです。

 

aiming_pc_rogles

剣と魔法のログレス 公式サイト

 

-椎葉:ゲームシステムはスマホユーザーに合わせて大幅に変えていますが、グラフィックのリソースは『ログレス』というシリーズとしては既に PC 版の2年の蓄積があるためリリース当初から大量のグラフィックを投入できたというのは大きかったですね。

 

-9-Bit:確かに、最近人気のゲームはキャラクターやグラフィックのボリュームの多いものが大半ですから、スタートからそういった競合と同じレベルで競えるというのは大きなプラス要因でしたね。

 

-椎葉:ですが、一方ではこの事で今後スマホゲームのリッチ化が進むのは自明の理であるという事も体感しましたね。このレベルのボリューム・リッチさをユーザーも求めているわけで、『ログレス』に関してはその要求を満たすことができたからスタートダッシュをかけることができたという事なんでしょう。

 

-9-Bit:それは今後スマホゲームの開発がより難しくなるという事にもなりますよね。

 

-椎葉:ええ。『ログレス』では以前からの蓄積があったらこそできたこと。これからは今作っているものを後々何らかの形でうまく再利用するとか、中長期で制作内容を考えていかなければ難しいでしょうね。

 

-9-Bit:一般的には、スマホゲームの開発は短期的に、数ヶ月から1年未満で作っていくのが普通だと思いますが…

 

-椎葉:普通はそうですよね。

 

-9-Bit:椎葉さんのお話を聞いているとそういう時代の流れからは逆行した作り方・考え方なのでは、と感じますが如何でしょうか。

 

-椎葉:スマートフォン自体がそもそも隙間時間を使うことを想定したデバイスだという点から考えると、今後のスマホゲーム市場の中心は「カジュアルでライトな(小さい)コンテンツ」が主流になっていくのは間違いないでしょうね。ですが、何年も遊んでもらえるゲーム・他とは違うゲームを作り出すという事を考えると、Aiming が作るような「大作」を作るのも1つの正解なのではないか、と僕は考えています。今回『ログレス』を出してみて、その方向性を突き詰めていくことの正当性を証明できましたし、今自分が向かっている方向は正しいんだという自信にもなりましたよ。

 

スーパーゲーオタ集団・Aiming だからこそできる「長く」「誰でも」遊べるスマホゲーム開発

 

-9-Bit:Aiming のゲームは「入口は広く、奥は深く」という点が徹底していますね。先にお話を伺った『ソード オブ ナイツ』『スマホでゴルフ!ぐるぐるイーグル』もカジュアルでありながらコミュニケーションやアバターといったやりこみ要素が用意されていますし。

 

-椎葉:Aiming では、入口は「誰でも遊べる」、そして遊んでいくうちにユーザーがゲームの中にいることが楽しくなって「コア化する」、そういうゲームを目指してゲーム開発をしていますからね。

 

-9-Bit:さらりとおっしゃられていますけど(笑)、それはゲームの理想形の1つであって、実際に実現するとなると中々難しいことだと思うんですよね。どこのゲーム会社もそういうゲームを作って、長く遊んでもらいたいと思っているわけで…

 

-椎葉:ゲームの作り方は昔と比べて変わってきていると僕は考えていて、昔はゲームというものが新しい、未知のエンターテインメントだったのでクリエイターが「面白いゲーム」を創り出してユーザーはそれを楽しむという構図が出来上がっていました。それが今はゲームが当たり前のものになってしまったために、面白いかどうかを決めるのはプレイヤー側に委ねられるという構図に変わってきていますので、面白いゲームを作るためにはクリエイターもプレイヤーとしての視点を持たなければならないという時代なんです。その点、Aiming の社員は皆「スーパーゲーオタ」ですので、今の時代の「面白いゲーム」をよく勉強した上でゲーム開発しているというところが強みになっているんだと思います。

 

-9-Bit:「スーパーゲーオタ」ですか(笑)。

 

-椎葉:ゲームをむちゃくちゃプレイしてないと採用試験通らないですからね、Aiming は。採用する時にどれくらいゲームをやってきたかを書類に書かせるんですけど、数年単位でやっている MMORPG があって、他にも複数のオンラインゲームをプレイしていて、更に家庭用のゲームも遊んでいる。それでようやく「お、中々いいのがきたな」というレベルですね(笑)。

 

-9-Bit:そうなると、やはりヘビーゲーマー寄りの意見が多くなっていくのでは…?

 

-椎葉:いえ、だからこそカジュアル・ライトなゲームをやらなければならない、と思っています。僕達がヘビーゲーマーで、作っているゲームもコア向けのゲームであるとしても、今流行っているゲームの中には今の面白さのトレンドが含まれている。そういう要素を理解せずに取り入れるのは無理ですから、社員には世の中の人が面白いと思っているゲームはそれが何故面白いのかわかるまでプレイするべきと言っています。『パズドラ』が流行っているのにプレイしていない社員がいたら、「何でやらないんだ? やれよ!」と突っ込みますよ(笑)。

 

-9-Bit:(笑) これは確かにゲームをプレイするのが好きでないとやっていけない職場でしょうね。

 

-椎葉:結局のところ、「面白いゲームを作るにはどうしたらいいか」という事を真面目に、真摯に徹底した開発をやっているだけなんですよね。会社としては面白いと思ってもらえるようなゲームを常に出し続けたい。そのためにはいわゆる「クソゲー」を出さないようにしたい。クソゲーを出さないようにするためには、ゲームをレビューする力を高めれば作っているゲームがクソゲーになる前に気付いて直すことができる。その力を高めるためにはやっぱり色々なゲームをプレイして勉強するのが一番ですから。

 

aimingshiiba_02_02

 

続きはこちら。
【Creator’s Voice】株式会社Aiming 代表取締役社長 椎葉 忠志氏インタビュー 第三回「1年以内に終焉を迎える第一次スマホゲームブーム その時どう生き残るか」

 

今週の注目ゲーム記事

フォローして最新情報を見る

Twitter Facebook