2014年03月05日(水) 22時05分
  • INTERVIEW

【Creator’s Voice】株式会社雷切 代表取締役 鳥谷部 環氏インタビュー「実力もやる気もある Flash 開発者をゲーム制作の表舞台に引っ張り出したい!」

iOS 向け新作ファンタジー RPG『BLAZE OF BLOOD』を発表、事前登録実施中の株式会社雷切。同社の代表取締役である鳥谷部環氏に雷切という会社と『BLAZE OF BLOOD』、そして氏が思い描くスマホゲーム開発についてインタビューした。

 

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株式会社雷切 代表取締役
鳥谷部 環 氏

 

雷切設立の経緯 自分が遊びたくなるゲームを作るために

 

9-Bit(以下「9」): 最初に、雷切を設立した経緯をお聞かせください。

 

鳥谷部 環 氏(以下「鳥」): 私は元々14年間ウェブ広告向けの Flash 制作の別の会社を経営してまして、その業務の中で大手 SAP のソーシャルゲーム開発の現場で Flash 制作の責任者もしていました。

 

9: その業務の中でゲーム開発のノウハウを学んだというわけですね。

 

鳥: いえ、3D も含めてのグラフィックやプログラム、UI(ユーザーインターフェース)といったゲーム開発の基礎知識についてはそれまでの Flash 制作の中で十分身についていましたが、ソーシャルゲーム開発の現場では特にどうやって収益を獲得していくかという事を学びましたね。その後、その SAP での業務から引き揚げて、自らゲーム制作をスタートしました。

 

9: 自らゲーム制作をやろうと考えた理由は何でしょうか。

 

鳥: 私が前職でソーシャルゲーム開発に携わっていた時期はフィーチャーフォンからスマホへの過渡期だったのですが、その時にスマホのゲームをプレイしてみたんですけどそれが面白くないんです。私は子供の頃に「ドラクエ」をはじめとする色々なゲームを遊んできた世代で、ゲームを含め様々なエンターテインメントに恵まれていた世代でした。当時のゲームはその中の世界やストーリーにどっぷり浸かって楽しめるゲームが多かった。ところが、最近のソーシャルゲーム・スマホゲームはゲームのそういう部分をないがしろにしているものが多いように感じてしまって…

 

9: 具体的にはどういう事なんでしょうか。

 

鳥: 例えば同じゲームの中に萌え系の美少女キャラもいれば、リアルなドラゴンもいて、あまつさえそういうキャラ達がカードとして同じデッキの中に存在している… そういった、ゲームの世界観を壊すような所がどうしてもしっくりこないんですよ。

 

9: ソーシャルゲーム以降、複数のイラストレータで分業することがより一般的になりましたからね。

 

鳥: ゲームの中の世界設定やストーリーとして考えたら、そこが納得いかなかったんです。ソーシャルゲーム・スマホゲームでそういうゲームが乱発されて、結果どうなったかと言うと、かつては日本のゲームは世界の中でもトップクラスのエンターテインメントだったのに、日本のスマホゲームで世界に通用しているものはほとんどない。そういう状況が自分には我慢できなかったんです。

 

9: なるほど、それならば自分で納得のいくゲームを作ろう、と…

 

鳥: そうです。それで、2013年1月にそれまで関わっていたゲーム制作の現場を離れて、自分1人でゲーム制作を始めたんです。それから6月くらいまでにゲームのモック版を制作しました。モックの反応を周囲に聞いてみると「面白い」という評価が多かったので「これはいける」と判断し、協力してくれる仲間を集めまして、株式会社雷切を設立したのが2013年12月です。

 

9: という事は、昨年1年間はほぼゲーム制作に費やしたわけですね。

 

鳥: まあ9月くらいの段階では8割くらい完成してましたけどね。その後は2ヶ月くらいかけてゲームの世界観や民族・宗教・歴史等の設定を作り込んだりしてました。それこそ映画が1本作れるくらいの資料を書きましたよ(笑)。そうやって制作してきたのが、今回発表した『BLAZE OF BLOOD』(以下『BOB』)なんです。

 

9: かなり細部に渡るところまで鳥谷部さん自身が作っているという事ですから、『BOB』は正に「ザ・鳥谷部」というゲームみたいですね。

 

鳥: 音楽やグラフィックまで私が全て監修してますからね。プレイヤーが「この世界の中で冒険したい」と思えて、記憶に残る世界観やストーリーを楽しむことができるように細部にまでこだわって制作しました。

 

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鳥谷部氏自身が細部までこだわったという『BLAZE OF BLOOD』のグラフィック

 

日本中の Flash 開発者よ立ち上がれ! 「RACHET」で広がるネイティブアプリ開発の道

 

9: 今回の発表では『BOB』のリリースだけではなく、「RACHET」という Flash ベースのゲーム開発フレームワークを発表されましたが、『BOB』も「RACHET」で開発されているんですよね。

 

鳥: もちろんそうです。

 

9: 今回「RACHET」について公に発表した理由は何でしょうか。

 

鳥: Flash に関しては世間でも誤解されている部分があって、Flash はアニメーションのためのツールという見方が強く、ネイティブアプリ開発には Unity や cocos2d が向いていると捉えられている節があります。しかし実際は Flash とネイティブアプリの親和性は特に 2D に関しては非常に高くて、しかも Unity と比べたら遥かに軽量なアプリが開発できますし、アニメーション性能も cocos2d よりも高く、ネイティブアプリ開発に向いているものなんです。ところが世間ではその事を知らずに他のツールを使って高コストのゲーム開発をしているところが多いんですよね。

 

9: なるほど。Flash を用いることでもっと開発コストを下げられる場合があるという事なんですね。

 

鳥: その Flash 上でより効率的なゲーム開発を可能にするのが「RACHET」なのですが、私はこの「RACHET」が知られることで Flash 開発者にもう一度ゲーム開発の最前線に出てきてほしい、と考えているんです。

 

9: Flash 開発者に、ですか?

 

鳥: ええ。日本にはウェブ広告で多く使われたこと等から非常に多くの優秀な Flash 開発者が存在します。ところがネイティブアプリ全盛期になって、Flash よりも Unity 等がもてはやされるようになったためにそういった Flash 開発者がネイティブアプリ開発というフィールドで思いっきり活躍できる場所が少なくなってしまった。それが非常にもったいないと思うんです。

 

9: Flash による開発はどのようなジャンルに向いているのでしょうか。

 

鳥: 3D の開発ももちろんできるのですが、やはり 2D の方が強いですね。私はスマホのゲームはカジュアルなものが向いている、カジュアルなゲームには 2D の方が向いている、と考えています。3D はやはりスペックも必要とするし、じっくり遊ぶゲームに向いていると思いますのでコンシューマゲーム機で遊べばいい。ですから、Flash はスマホのゲーム開発に向いているんですよ。実際に既に実績はあって、最近人気のパズルゲーム『パズ億』も、実は Flash で開発されているんです。

 

9: 『パズ億』も Flash なんですか! 動きもスムーズですし、全く遜色ありませんよね。

 

鳥: 当然です(笑)。ですから、Flash 開発のスキルを持っていてゲームを作りたい開発者は、どんどんゲーム開発に参入していただきたいと思います。

 

9: 「RACHET」はオープンソースで提供することも考えているんでしょうか。

 

鳥: いえ、当面は弊社と協力していただける会社を中心に利用していただく形になります。ですが、もし興味のある企業や個人開発者の方がいらっしゃったら遠慮なく声をかけてください。また、近々弊社でもインターンの募集を予定しています。Flash の技術を高めたい・実務を通じて学びたいという人材を募りたいと考えておりますので、ゲーム制作に熱意のある人はぜひ連絡してきていただきたいですね。それと、まだ構想段階なのですが、今後はFlashを使ったゲーム制作や RACHET のスクールのようなものを開催するコミュニティを立ち上げていきたいということも考えています。

 

9: ゲームが作りたい Flash 開発者は雷切へ!というわけですね。

 

鳥: そうです(笑)。

 

「世界」を巡る感覚を楽しんでほしい 『BLAZE OF BLOOD』に込めたもの

 

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9: 最後にもう一度話を『BOB』に戻しますが、プレイヤーにはこのゲームのどういうところを楽しんでもらいたいですか。

 

鳥: 私は20代の頃にフランスでストリートダンサーをやっていたんですけど…

 

9: え? フランス? ストリートダンサー?

 

鳥: ええ(笑)。高校を卒業した後、絵の勉強をするためにフランスに渡りまして、ダンス等のアーティスト活動を約7年してました。その時にヨーロッパを回ったり、アフリカ、サハラ砂漠に行ったり… 色々な所を旅行してきましたが、そこで見てきた風景や世界、民族性や宗教、価値観の違いといった私が感じてきた事を『BOB』には詰め込んであります。その世界を旅して成長していく感覚をぜひ楽しんでもらいたいですね。

 

9: 世界中を巡ってきた鳥谷部さんならではのゲーム、リリースを楽しみにしております! 本日はどうもありがとうございました。

 

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