2014年02月25日(火) 14時10分
  • INTERVIEW

【Creator’s Voice】株式会社ワンオブゼム 代表取締役社長CEO 武石 幸之助氏インタビュー 第一回「始まりは“アメーバブログ” ゲームコミュニティ屋誕生の経緯」

登場と共に瞬く間に人気を集め、一躍注目を浴びた新機軸のタワーディフェンスゲーム『ガチャウォリアーズ』。先日大型アップデートを発表し再び注目を浴びるこのゲームを作ったワンオブゼムとはどのような会社なのだろうか。

 

『ガチャウォリアーズ』でいきなりヒットメーカーへ 株式会社ワンオブゼム

 

アメコミ風の新感覚タワーディフェンスゲーム!『ガチャウォリアーズ』 (レビュー)

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個性的なグラフィックとキャラクターが特徴的なタワーディフェンスゲーム『ガチャウォリアーズ』(以下『G.W.』)。2013年3月にリリースされるとすぐにゲームファンの間で人気に火がつき、一気にヒットゲームへと駆け上がっていった同タイトルだが、このゲームを開発した会社がどのような会社なのか御存知でない人は多いのではないだろうか。

 

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今回の「Creator’s Voice」は、『G.W.』を開発した株式会社ワンオブゼムの創業者で代表取締役社長 CEO の武石幸之助氏に独占インタビューを行い、ワンオブゼム創業から代表作『G.W.』、そして同社の今後のビジョンについてお話を伺った。

全3回となるインタビューの第1回となる今回は、ワンオブゼム創業時のエピソードと会社の状況について語っていただいたので御紹介しよう。

 

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株式会社ワンオブゼム
代表取締役社長 CEO / Founder
武石 幸之助 氏

 

「ゲーム屋」ではなく「ゲームコミュニティ屋」 バックボーンは“アメブロ”から始まった

 

9-Bit: 本日はよろしくお願い致します。

 

武石 幸之助 氏(以下「武石氏」): よろしくお願いします。

 

9-Bit: まず『G.W.』や会社についてお聞きする前に、創業者である武石さん御自身の経歴についてお伺いします。ワンオブゼムを創業する前はどのような仕事をされていたんですか。

 

武石氏: 前職についてはまず学生時代にまで遡るんですが、当時(1998年頃)は IT バブル・ネットバブル全盛期という事もあって、その頃から IT・ネット企業を意識していましたので色々な IT 企業でバイトしていたのですが、大学院時代にバイトしていたのがサイバーエージェント(以下「CA 社」)でした。卒業後はそのまま CA 社に新卒で入社しまして、それから約6年、ずっと IT 畑で働いてきました。

 

9-Bit: CA 社ではどのような仕事をしていたんですか。

 

武石氏: CA 社では主に新規事業の立ち上げに携わっていたんですが、その時にスタートメンバーとして立ち上げたのがメディア事業の「アメーバブログ」だったんです。アメーバブログには事業部長として立ち上げから運営まで関わっていたのですが、会員が数百万人を超えた辺りからブログ以外のコミュニティサービスの要求が多く寄せられるようになり、デジタルコンテンツの販売やゲーム、そして「アメーバピグ」にも関わってきました。

 

9-Bit: 今や巨大サービスとなったアメーバブログの立ち上げに参画されていたんですね。そこで培った経験は今の仕事でどのように役に立っていますか。

 

武石氏: ちょうど私が IT 業界にいた頃はいわゆる「Web2.0」が盛り上がる前後の時期でしたから、その大きな変革期に業界にいたのは大きな刺激を受けましたね。また、アメーバブログではメディアを立ち上げて、ユーザーコミュニティを作って、そのコミュニティに向けてコンテンツを提供するという事をやってきましたので、それは正に今やっている事に繋がっている点ですね。私は自分の事を「ゲーム屋」だとは思っていないんですよ。

 

9-Bit: えっ、そうなんですか?

 

武石氏: ええ。私の持論では、ゲーム会社というくくりでゲームを作ってはいけないと考えているんです。何故かと言うと、ゲームってコミュニティじゃんと思ったんですよ。前職ではインターネットの中でユーザーが集まる場所、ユーザーがプールできる場所・機能を作るというのが基本の考え方だったので、そういう考え方でゲームを作らないとこれからのコンテンツは作れないよね、というのが私の大前提の考え方なんです。そういう考え方は、前職での経験が生きている部分だと思います。

 

9-Bit: その考え方は、会社を作る上でも影響している点なんでしょうか。

 

武石氏: 元々会社を立ち上げる前からそういう考え方でしたので、自分がやらなければならないのがゲームを作るのはもちろん、ちゃんと人が集まる場所も作ろうと考えてまして、実は起業した時も「ゲーム会社をやろう」ではなく「人が集まるような場所を作る」という考え方で事業を始めたんですよ。

 

9-Bit: つまり、コミュニティを提供する事業というのが前提にあって、その手段として「ゲーム」がある、という事なんですね。

 

武石氏: そうです。ですから、自分は「ゲーム屋」ではなく「ゲームコミュニティ屋」としてゲームや新しい事業を立ち上げていこうと考えています。

 

勢いで退職! 行き当たりばったりでスタートした会社設立

 

9-Bit: ワンオブゼムを立ち上げたのはいつ頃、どういった経緯からだったんですか。

 

武石氏: 会社を立ち上げたのは2011年1月です。実は CA 社はその3ヶ月程前に退職してまして… 起業するために会社を辞めたはいいんですが、何をやろうか全くアイディアがなくて(笑)。3ヶ月程ニートしてました。

 

9-Bit: そんな行き当たりばったりな感じだったんですか(笑)。

 

武石氏: 別に用意周到に退職したわけじゃなくて、勢いで辞めちゃった感じでしたね(笑)。どういう事業をやるか考えたら起業しよう、と考えていたんですが、全く思い浮かばなくて… それで「このままじゃだめだ!」と思いまして、取り敢えずまず会社を作りました。もちろん漠然としたアイディアはあったんですが、具体的に決めて動くためにはまず環境から、という事で。

 

9-Bit: 会社をスタートした時は何人で始められたんですか。

 

武石氏: そういう経緯でしたから、最初は当然私1人でした。自宅をオフィスにしての起業です。その後、前職や学生時代の伝手で1人、2人と増えていきまして、4人になった時に自宅では手狭になったのでシェアオフィスを借りて…

 

9-Bit: その頃はどんな事をしていたんですか。

 

武石氏: この頃は「どんな事業をやるか」という事を考えながら試行錯誤を繰り返していましたね。これ、という事業を中々立ち上げられなくて、とにかく焦っている時期でした。そして起業してから1年後、事業の方向性が固まり今のオフィス(新宿区)に移転して現在の体制になりました。

 

エンジニアが足りない! 解決の方策はベトナム・ハノイにあった

 

9-Bit: 現在の社員数は何名ですか。

 

武石氏: 新宿の本社に45名、それとハノイ(ベトナム)の拠点に15名です(※2014年1月現在)。また、シンガポールにも東南アジア市場のマーケットリサーチのための拠点があります。

 

9-Bit: ハノイではどのような事業をされているんですか。

 

武石氏: ハノイの主な目的は人材育成で、現地の学生に実際の業務を通じてゲーム制作を学んでもらっています。

 

9-Bit: 敢えてベトナムでそのような人材育成を行っているのはどうしてでしょうか。

 

武石氏: きっかけは2011~2012年頃に、特にエンジニアが人材不足になった事ですね。各社がエンジニア獲得競争を繰り広げる中で焦りを感じつつも、経験のある人材や優秀な学生を雇おうと思っても大手企業にはかなわないのでどうしようかと考えた時に、「それなら海外で育成してみたらどうか?」と思ったんですね。その時にたまたま弊社でベトナムからの留学生がアルバイトで働いてまして、彼から「ハノイに日本語で授業をしているエンジニアの学校がある」と聞いたので早速ハノイに行ってみたんです。

 

9-Bit: ベトナムでエンジニアの授業を日本語で… そんな学校があるんですか。

 

武石氏: 実際に行ってみると本当に日本語で授業をしていたので驚きました。また、ベトナムの国民性や価値観、労働環境は日本人のそれに近いという事もあったので、そこの学生を対象に人材も育成しつつ制作の一部も任せられる拠点としてハノイに人材育成センターを立ち上げたんです。意欲のあるスタッフは日本に送り込んでこちらの現場での経験を積んだりもさせています。

 

「萌え」「エロ」には頼らない ワンオブゼム・オリジナルにこだわる

 

9-Bit: ゲーム開発に当たって、ワンオブゼムとしてこだわっているのはどういうところでしょうか。

 

武石氏: 「萌え」「エロ」はやらないという事ですね。私自身は決して嫌いじゃないんですけど…(笑)

 

9-Bit: (笑) 商業的なメリットを考えると避けられない要素だと思いますが…

 

武石氏: 何故かと言うと、ワンオブゼムが作るコンテンツは IP 化して海外展開も含めた色々な展開をさせていきたいと考えているからです。「萌え」や「エロ」だと海外で広くメジャーにしていくのは難しいでしょう。当社の代表作の『G.W.』はローカライズをしなくても海外市場で受け入れられていますし、「萌え」「エロ」に頼らなくても日本や海外で受け入れられる IP を作っていくことはできますよ。

 

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9-Bit: 確かにそうですね。もしかしたら『G.W.』は海外のユーザーに日本じゃなくて現地の会社が作っていると思われてもおかしくないかもしれませんね。

 

武石氏: もう1つこだわっているのは、マーケティングに力を入れるという事です。ソーシャルゲームではマーケティング・広告宣伝をプラットフォームに依存していましたが、ネイティブアプリでは自分達で積極的に PR していかないとユーザーに認知してもらいにくいですから。今後は月に1回は何らかのリリースを出す等、積極的に情報も発信してマーケティングを行っていきます。

 

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