2013年12月24日(火) 11時30分
  • INTERVIEW

【Creator’s Voice】株式会社 gumi 代表取締役社長 國光 宏尚氏インタビュー 第三回「世界で戦いたければ gumi の船に乗れ! 打倒・ソフトバンク陣営!」

株式会社 gumi 代表取締役社長・國光宏尚氏の「Creator’s Voice」、最終回となる今回は、國光氏がターゲットとする「ライバル」、そしてその戦いに勝つための作戦等を聞いた。やはりその前に立ちはだかるのは…!?

 

打倒・ガンホー&Supercell! そしてあの“大物”に戦いを挑む「主人公」って…!?

 

9-Bit: 今おっしゃられた「孫さん」、つまりソフトバンクの孫正義氏と言うとやはりガンホー(ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社)との共同による Supercell の買収劇の話題ですね。

 

ソフトバンクとガンホー、共同で『クラッシュ・オブ・クラン』のスーパーセルを買収!
http://9-bit.jp/archives/23506

 

國光氏: ソーシャルゲームから始めて5年もの間、特にこの1年半は本当にがんばってきたのに! 『パズドラ』が一気にぽーんとトップに躍り出て、3000億で Supercell を買収した、という話が出て… さすが孫さんは次元が違うな、と。片手間でブチ抜いてくる(笑)。

 

9-Bit: 私の中では國光さんと言うと「打倒・ジンガ」を標榜する人、というイメージが強いんですが、そうなるとこれからは「打倒・ソフトバンク」、ですか?

 

國光氏: 打倒、と言うか… もうとんでもないところまで行かれてしまった、という感じもしますけど(笑)。モバイルゲームにおいてはどう見てもガンホーと Supercell には完全に抜かれてしまった。間違いなくガンホーは日本最強、Supercell は欧米最強ですからね。世界で1位を取ろうと思ったら、このコンビを抜かなければならない。ですから今はガンホーと Supercell が目指すところです。

 

9-Bit: 「打倒・ジンガ」から「打倒・ガンホー& Supercell」ですね。

 

國光氏: ただ、「打倒ジンガ」の時と違うのは、その頃に比べたらまだ勝算があるという事です。あの頃は gumi はできたばかりの会社で、対するジンガは時価総額1兆円という巨大企業。今考えると、「打倒」って何言ってんだか訳がわからない(笑)。だけど、今はあの頃と比べて遥かに戦える体制が出来上がってきた。
今のこの状況って、うちが「主人公」っぽいんですよねえ。

 

9-Bit: 主人公、というのは…?

 

國光氏: 日本のソーシャルゲームの争いから今のネイティブアプリ市場での競争まで、gumi はソーシャルゲーム黎明期からずっと戦い抜いてきた。今、ネイティブアプリで活躍している企業は、その流れの途中からの参戦でしょ。途中から出てきて主役、っていうのはないと思うんですよね(笑)。
それともう1つ。主人公は途中で死にかけないといけない(笑)。その点、うちは月ウン億の赤字を出したりして、潰れかけたことが3回はありましたからね! 今回のネイティブアプリへのシフトでも最初の内はかなり危なかったですから。今はおかげさまで黒字になりましたけど(笑)。

 

9-Bit: なるほど、死にかけるようなピンチも乗り越え、逆境をはねのけて成長して、というところがマンガの主人公っぽい、と…(笑)

 

國光氏: これからは上げ潮にのっていくぞという雰囲気だし、3回死にかけて、今こうして強大な敵に立ち向かおうとしている辺りは主人公っぽいでしょ(笑)。「ドラゴンボール」にしても「ワンピース」にしても、主人公は皆死にかける。そしてその度に新しい技を身につけたりして強くなる(笑)。

 

9-Bit: 冗談っぽくおっしゃってますけど、確かに対グローバルの体制構築にしても、『ブレイブ フロンティア』や『進撃1942』のようなゲームを産み出すコンテンツ力にしても、実際に以前と比べたらかなり強化されているところですから決してハッタリではありませんよね。

 

楽な道ではない「ネイティブへのシフト」

 

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國光氏: gumi は逆境やピンチを乗り越えてここまで来たわけですけど、特にネイティブへのシフトは本当に苦労しましたからね。そんなに簡単な事じゃない。
フィーチャーフォンwebからスマートフォンwebへの移行はそんなに難しい事じゃなかった。Flash とかをちょっと書き換えるくらいでできましたからね。ですが、ネイティブへの移行となると本質的な技術も変わる。ゲームの作り方も変わる。企画を作る時の根本の考え方まで変わってしまう。そういった今までになかったシフトができるかどうかは、各社とも非常に大きなチャレンジになるんじゃないでしょうか。

 

9-Bit: となると、今までモバイルゲーム業界のメインプレイヤーだったところがその競争から脱落していく可能性も…

 

國光氏: ありうると思いますよ。

 

9-Bit: 具体的にそのシフトに苦労しているところを挙げるとするとどこですか?

 

國光氏: いや、もうほとんど全部でしょう。今AppStoreの上位ランキングを見てもわかる通り、ブラウザゲーム時代に活躍していた会社よりもガンホーやコロプラのようなネイティブアプリから伸びてきた会社の方が明らかに勢いがあります。それから、ブラウザゲーム時代に失速していた大手パブリッシャーが上位に顔を出しています。実際、うちぐらいじゃないですかね、その時代から今に至るまで上位に顔を出し続けているのは(笑)。

 

9-Bit: てっきり最近あまり良いニュースを聞かないグリー株式会社(以下「グリー」)の名前が出てくると思っていましたが…

 

國光氏: ネイティブアプリに関しては、グリーは決して悪くはないと思いますよ。
まず、アメリカの市場では非常に強い。今はランキング1・2位の『Clash of Clans』と『Candy Crush Saga』が頭一つ二つ飛び抜けてますけど、次の二番手グループの上位に位置しているアプリを出しています。グリーの場合は、北米向けのアプリをアメリカ人チームがしっかり作っていますからね。それから、国内でもグループ会社のポケラボが健闘しています。アメリカ法人とポケラボ、この2つの買収はグリーのネイティブアプリ展開の上では大きな強みでしょうね。

 

9-Bit: という事は、グリーがネイティブアプリで挽回する可能性も…

 

國光氏: あると思います。資金力もありますし、思い切り良くリストラをしているという決断ができるのも企業としては大きなプラス要因ですよ。

 

9-Bit: なるほど。…あの、この辺りの話って、書いても大丈夫でしょうか?(笑) (※実際はもっと色々な業界ウラ話が出てきています。)

 

國光氏: ギリギリですね(笑)

 

「俺の船に乗れ!」 大ゲーム時代を乗り越える仲間よ集まれ! ゲーム王に俺はなる!!!

 

9-Bit: gumi はエイリムをはじめとする開発力のある会社や各国の拠点をグループとして持っていますが、gumi グループの今後の展望についてお聞かせください。

 

國光氏: 当社は gumi ventures (http://www.gumiventures.jp/) という出資事業もやっていて、提携先・買収先は常に探しているんですが、それでグループに入った会社も多いんですね。例えば『進撃1942』の元のゲームを開発していた香港の会社もその1つだったんですが、色々な企業に投資して色々なゲームを作る、ということを実は着々と進めています。先程も話したようにネイティブアプリは「何が当たるかわからない」という世界ですから。そういう会社で作っているものがこれから次々に出てきますよ。

 

9-Bit: 思いもよらないようなものが gumi のコンテンツとして出てくるという事ですね。

 

國光氏: ええ。たくさん出てきます。恐らく他の会社が聞いたら絶望を覚えるくらいに(笑)多方位に渡って攻めていきます。グローバルに対応できる体制を構築しているという事はそこでも生きてくるんですよ。

 

9-Bit: それはどういう事ですか。

 

國光氏: 例えば、『ブレイブ フロンティア』を他の国の人が作れるかと言うと、あのゲームは JRPG の文化をしっかりと経験してきた日本の開発者だから作れるものであって、海外の開発者に作れるものではありません。逆に『Clash of Clans』や『Candy Crush Saga』が日本の開発者に作れるかと言うと、それも難しいと思いますし、韓国・中国だとオンラインゲーム文化をベースにしたものが出てくるでしょう。やっぱりクリエイターも昔から自分が好きだったものが一番得意でしょうから。
ですが、それらのタイトルが違う国で大人気になっているという事は、面白ければどんなゲームでも世界中で人気が出るという事なんです。元々ファミコン時代のゲーム黎明期って色々なゲームが出てきましたよね。恐らく、これからまたそういう時代が再来して、ゲームを作っていくクリエイターも色々な地域の色々な才能と一緒になって多様性のあるコンテンツを次々に産み出していく時代になるでしょうけど、gumi では今その時代に向けてたくさんのゲームを作っていて、そしてどれかが当たったらグローバルに広める力も持っている

 

9-Bit: それが今の gumi の力であり、これからのマーケットに向けての攻め方になるわけですね。

 

國光氏: 現実として、モバイルゲームのマーケットはグローバルで急速に拡大しています。今までは日本の大手各社が海外展開・グローバル戦略で成功するケースはあまりありませんでしたが、それは「市場がなかった」事が原因なんですね。「ブラウザゲーム」も「ガワネイティブ」も、日本以外ではニーズがなかった。だけど、「スマートフォンのネイティブアプリゲーム」という市場は間違いなく確立している。日本企業の海外展開は失敗したというような雰囲気が漂っていますけど、そうではなくて、正に今、ようやく「世界」の市場が立ち上がってきた、という事なんです。
gumi はそういう海外の市場に攻め込んでいく体制が出来上がりました。ですから、もしグローバルで本当に大ヒットするようなゲームを作りたいという人がいたら gumi と一緒にやりませんか、と言いたいです。
そのために必要なのは、何と言っても「新規性」のあるコンテンツ。何かのゲームの後追いや「ガワ替え」ではない、新規性のあるコンテンツを持って世界で勝負したいという人がいたらぜひ声をかけてほしいですね!

 

9-Bit: 「gumi」という船団で一緒に戦う仲間募集中!という事ですね。

 

國光氏: そうですね。何て言ったって、これからソフトバンク・ガンホー・Supercell という大船団との戦いが待つ、5兆円市場という「新世界」に向けて出航しなけりゃならないんですから。世は正に大ゲーム時代!ですよ(笑)。志ある者は gumi 海賊団の船に乗れ!(笑)

 

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9-Bit: 最後は元ネタが想像できる言葉で締められましたね(笑)。本日は色々なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。大半がとても記事にできないようなお話でしたが…(笑)

 

國光氏: ダメですよ、○○とか××の話を書いちゃ(笑)。

 

9-Bit: (笑) わかりました。今日は本当にどうもありがとうございました。

 

國光氏: ありがとうございます。

 

全てを公開したいのに公開できないジレンマ! gumi の勢いを体現する國光氏のインタビュー

 

数多くのメディアに登場し、発信力はゲーム業界屈指と言える國光氏だが、今回のインタビューで筆者が痛感したことが1つある。それは、「どうしてこんなに面白くて使えないエピソードばっかりあるんだ!?」という事だ。業界裏話から國光氏自身の持論、業界動向分析等々、実に興味深く面白い話がインタビュー中にたくさん披露されているにも関わらず、「これは書かないでくださいね」「これ書かれたらマズいので…(笑)」という注釈が付いてしまう話の多いこと多いこと! 話の聞き手としては実に楽しく、そして記事としてまとめるには実にインタビュアー泣かせの國光氏のお話だった。その面白さ・エキサイティングさの一端でもこの記事から伝われば幸いだ。

 

尚、インタビュー中は筆者も同じく「ワンピース」好きという事もあって、読んでる人でないとわからないワンピース小ネタが随所に散りばめられており、
「スティーブ・ジョブスがゴールド・ロジャーだとしたらビル・ゲイツが金色のシキで…」
「孫正義率いる白ひげ海賊団が…」
「マルコが横から出てきて“お前にはまだまだ早いぞよーい!”って…」
等々、「ワンピース」をベースに業界絵図を語り盛り上がる、という一幕があった事も付け加えておこう。

 

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