2016年08月05日(金) 19時04分
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何故グリーはヒットタイトルをリリースできなかったのか 今年度新タイトルラッシュで挽回へ グリー株式会社2016年6月期決算説明会レポート

グリー株式会社は8月4日、当期の締めくくりとなる2016年6月期第4四半期決算説明会を投資家・メディア向けに開催しました。今年度は苦戦を余儀なくされた同社の、新年度の戦略とゲーム開発のパイプラインが明らかに。

 

グリー株式会社 2016年6月期決算説明会

 

グリー、2016年6月期通期決算は前年度から減収減益へ 各事業は保守的な動き

通期・第4四半期決算概要

グリー株式会社の2016年6月期通期及び第4四半期の業績は下記の通り。(単位:億円)

 通期前年比第4四半期前四半期比
売上高698.8▲225.8156.3▲11.8
営業利益142.4▲59.922.2▲14.2
経常利益105.3▲144.7▲5.5▲31.3

 

4~6月の第4四半期は年末年始・春休みといういわゆる“稼ぎ時”の次の四半期ということで第3四半期と比較してマイナスになるのはやむをえないところですが、通期で売上高・利益共に大きく前年度を下回るという残念な結果となりました。

 

グリー株式会社 代表取締役会長兼社長 田中 良和 氏

▲グリー株式会社 代表取締役会長兼社長
 田中 良和 氏

 

各事業の概況

各事業の現在の状況・見通しに関する田中氏の説明について、ポイントをまとめておきましょう。

 

ネイティブゲーム(※国内)

・既存タイトルでは『消滅都市』『釣りスタ』の運営が安定
・子会社のポケラボは既存タイトルの運営を移管譲渡し、新規タイトル開発に集中させる方向で体制を強化。
2017年6月期は新作タイトルのリリースラッシュとなる。

 

ウェブゲーム

運営事業に注力し受託数を増加。
・7月12日より運営開始した『グランブルーファンタジー』、人気アイドルを起用した『乃木恋』といった大型タイトルの獲得によって、ウェブゲーム事業の減衰を緩やかにしていく。

 

VR 事業

・まだ先の見通しが読めない長期的な事業になる見込なので、グリー単独として投資・開発するのではなくパートナー企業との協業を軸に進めていく。

 

『グラブル』や『乃木恋』といった大型タイトルの投入、新規開発から運営受託へシフトすることでウェブゲーム事業の業績改善が見込めるようになった一方、ネイティブゲームは未だに『消滅都市』『釣りスタ』という古株頼みで新作タイトルが伸びていない事が伺えます。VR 事業に関してはまだまだ市場が未開拓で、タイトル開発を軸にした事業の収益化はまだ先の話のようです。

 

グリーは2年間の“開発期間”だった 2017年度は新作タイトルリリースラッシュへ

 

2016年6月期は目立った新作のなかったグリー。2015年6月期の決算説明会では「国内ネイティブゲームの新作タイトル10タイトルをリリース」すると発表していた当期ですが、終わってみると既存タイトルの『消滅都市』『釣りスタ』が未だ牽引するという状況のようです。

 

関連記事:
グリーの“ネイティブシフト”は成功したか グリー2015年6月期第4四半期決算説明会レポート

 

グリー2015年6月期第4四半期決算説明会

 

この状況について、田中氏はネイティブゲーム参入後の段階を3つに分けて説明。

 

第1期
どのようなゲームをネイティブアプリとして開発するかを模索する時期。その中で『消滅都市』等のヒットタイトルが誕生した。

第2期
第1期の成果を受けて、「グリーとしてどのようなゲームを創り出していくべきか」方針を考えながらゲームを開発する時期。

第3期
第2期で作ってきたゲームを完成・配信する時期時期。

 

グリーとしては、『消滅都市』をリリースした2014年が第1期、2015年から当期の2016年まで第2期、そして次の2017年を第3期として位置付けています。

『消滅都市』に続くスマッシュヒットが出せず業績の厳しかった2016年6月期は“耐え忍ぶ第2期”故に当然の結果…というのは年初の発表内容から見ると少々後付けのようにも聞こえますが、田中氏は「2017年は、これまで約2年かけて開発してきた新作が続々登場するリリースラッシュの年なのでご期待いただきたい」と力強く語りました。

 

さて、“リリースラッシュ”だという2017年、タイトル数やジャンルはどうなっているのでしょうか。今期は下記のタイトルが既にリリース済、または配信開始が決定しております。

 

グリー株式会社 2016年6月期決算説明会資料 ナルティメットブレイジング

『NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットブレイジング』
7月14日より配信開始

 

グリー株式会社 2016年6月期決算説明会資料 追憶の青

『追憶の青』
クローズドβテスト実施済で、現在リリースに向けて最終調整中。

 

また、今回の発表によると、この2タイトルの他に Wright Flyer Studios が5本のタイトルを開発中としており、更にポケラボからも Android 版がオープンβテスト実施中の6人対戦アクション『激突!クラッシュファイト』をはじめ3本、計10タイトルのリリースが予定されています。

 

グリー株式会社 2016年6月期決算説明会資料 激突!クラッシュファイト

グリー株式会社 2016年6月期決算説明会資料

 

Wright Flyer Studios 開発のタイトルとして予想されるのは、昨年の東京ゲームショウでの発表以後、未だに目立った動きの見えない以下の3タイトルです。

 

『アナザーエデン (Another Eden)』(KMS Project(仮)) 制作発表会レポート

『ぷよクエ』の名物プロデューサー・高大輔氏による大作 RPG『アナザーエデン 時空を超える猫(アナデン)』

 

Wright Flyer Studios Keynote

鉄と煙溢れる男臭い戦場を舞台に繰り広げられるアクションゲーム『武器よさらば』 なぎ払え

 

Wright Flyer Studios Keynote

有名アニメーションスタジオとの共同開発によるパズル RPG『ホニャららMAGIC』

 

関連記事:
【TGS2015】グリー新作タイトル目白押し! 未発表タイトル一挙紹介
【TGS2015】『アナザーエデン(Another Eden)』 制作発表会レポート

 

つまり、残る2タイトルが未発表のタイトルと予想されます。

昨年の東京ゲームショウでは『追憶の青』を筆頭に、上記のタイトルや現在好評配信中のアクション RPG『ソウルアームズ』等、新作が続々と発表されました。今年も東京ゲームショウ2016の出展が決定しているグリー、上記3タイトルの進捗状況や未公表タイトルの概要等の新情報の発表が期待されるところです。

 

グリー=「RPG メーカー」 リリース間近の『追憶の青』には要注目!

 

質疑応答ではリリース直後から大人気となった『Pokémon GO』に関する質問からグリー・Wright Flyer Studios のゲーム開発の方針が明らかになりました。

 

グリー株式会社  取締役 執行役員 荒木 英士 氏

▲グリー株式会社 取締役 執行役員
 荒木 英士 氏

 

ネイティブゲームアプリ開発統括の荒木氏は、『Pokémon GO』の成功は Google マップ、Google ストリートビュー、Google Earth 等を開発してきたチームがスピンアウトして設立された Niantic 社が、『Ingress』という世界的にヒットしたゲームアプリを開発・運営してきたという土台の上に「ポケモン」という強力な IP を載せることで産み出したという長年の蓄積によって産み出されたものであり、偶発的に産まれたヒットではない、と説明。

その上で、「グリーとしても、Niantic にとっての AR・位置情報のように“このジャンルでは負けない”という強みを活かせるカテゴリに注力するべきと考えている」とし、グリーにとっての“強いジャンル”は「RPG」である、と発言されました。

荒木氏によると、現在 Wright Flyer Studios には3つの開発スタジオがあります。

 

1つ目のスタジオ:アクションゲーム開発に特化したチーム。代表作『追憶の青』

2つ目のスタジオ:ゲームそのものの開発に加えてストーリー・音楽のプロデュース含め IP を作り出す力も持つチーム。代表作『消滅都市』

3つ目のスタジオ:(※説明なし)

 

このようにそれぞれに特徴はありつつ、全ての開発スタジオが制作するゲームは「RPG」であるという点に軸を置いているとの事。それは後に控える『アナデン』『武器よさらば』もアクション性のあるゲームである事からも伺えます。

また、田中氏は「RPG」というジャンルがオリジナルタイトルはもちろんのこと、大型 IP を活用したゲームデザインも作りやすいという事からビジネス面で大きく展開できる可能性があるという利点があることにも言及しました。

これまで“ネイティブシフト”をキーワードに様々なゲーム開発に取り組んできたグリーですが、今年度は「RPG メーカー」としての立ち位置を確保しヒットタイトルを創出できるか、という点が業績回復のカギになることでしょう。

世間では『Pokemon GO』の AR・位置情報ゲーム、『Hearthstone』『Shadowverse』に代表される TCG(トレーディングカードゲーム)がトレンドになりそうな動きが見られる一方、RPG の老舗、スクウェア・エニックス社も『グリムノーツ』『サムライライジング』といった良質の RPG をスマホ向けに次々と打ち出しているという状況で、果たしてグリーはどのようにして存在感のあるヒットタイトルを打ち出していくのでしょうか。

そこで俄然注目となるのが、リリース間近と言われている『追憶の青』です。昨年の TGS にプレイアブル出展された際もそのアクション性の高さから注目度の高かった本作、今年度のグリーの勢いを占うタイトルとしても注目が集まりそうですね。

 

追憶の青 公式サイト
http://blue.wrightflyer.net/

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