2016年01月27日(水) 08時00分
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未来のスタークリエイターの意欲作をプレイ! 卒業制作展の域を超えたビッグイベント・HAL 東京『未来創造展 2016』イベントレポート

ゲーム業界で働きたい!という若者の選択肢の1つ、それは「専門学校に通う」ことだ。専門学校ではゲーム開発の基礎とノウハウを「学ぶ」だけではなく実践、即ちゲーム開発を一から体験して学生はゲーム業界で仕事をするための経験を身につけていく。そういった環境が用意されているのも特徴の1つだ。

TV CM 等でも有名な IT・CG・ゲーム専門学校の HAL 東京では、卒業・就職を間近に控えた学生の集大成として制作した成果物を学内のみならず一般にも公開し、見て体験してもらうという取り組みを行っている。それが同校の開催するイベント「未来創造展」だ。

 

未来創造展 2016

 

「未来創造展」は専門学校が開催するイベントとは思えないほどの規模で毎年開催されており、生徒の成果物の展示はもちろん、あわせて行われる同グループの東京モード学園によるファッションショー等のステージイベントやゲストによるライブ等、学校が実施する文化祭や卒業制作展の域を遥かに越えた一大イベントとしてゲーム業界内でも有名なイベントなのだ。

東京モード学園、首都医校、そして HAL 東京という3つの専門学校の生徒の卒業制作を発表する「未来創造展」では、毎年1つのテーマを設定し、そのテーマに沿った各分野の作品が制作される。今回のテーマは「めざせ元気な100歳! ボクたちの高齢化社会」という事で、高齢化社会をいかにアクティブに楽しく過ごすかをそれぞれの分野で形にするべく制作に取り組んだという。

2016年1月20日に国立代々木第一体育館で開かれた「未来創造展 2016」を今回取材してきたので、その様子をレポートしよう。未来のゲーム業界を担うクリエイター達の息吹とパワーを感じ取っていただきたい。

 

ファッション、医療、ゲーム… 各業界の若い息吹のパワーがアツい「未来創造展 2016」の規模が想像を遥かに越えている!

 

未来創造展 2016

 

「未来創造展 2016」の会場は、9000人分を超えるスタンド席と4000人を収容可能なアリーナを有しコンサート会場としても有名な国立代々木第一体育館だ。これだけの会場を使用するとあって、その出展規模もかなり大規模なものとなっている。

 

未来創造展 2016

 

上の写真は、HAL 東京の展示エリアをスタンド席から撮影したもの。アリーナの約3分の1を占めるこのエリアには、CG 作品、Web サービス、ロボット、そしてゲームといった HAL 東京2年制/4年制を今年卒業する生徒が制作した作品が展示されている。

 

未来創造展 2016

 

こちらは HAL 東京と同グループの美容・ファッション・デザインの専門学校・東京モード学園の生徒による作品が展示されているエリア。また、医療の専門学校・首都医校の展示も同アリーナにて行われた。

 

未来創造展 2016

 

圧巻なのが、会場中央に設営されたステージだ。十字型に作られており、このステージ上で学生による展示内容のプレゼンテーションやゲストによるライブが行われたのだが、目玉は東京モード学園の生徒がデザインした衣装のファッションショー。

 

未来創造展 2016 未来創造展 2016

未来創造展 2016 未来創造展 2016

 

「100歳記念の盛大な祝賀会に出席するため」の衣装や「100歳になっても恋をして長生きをしよう」というテーマのファッション、「筋肉をまとった元気な身体で長生きすることをイメージした衣装」など、きらびやかで美しいものから奇抜なものまで、様々な衣装を着たモデルが次々に登場するファッションショーにはスタンドの観客からも溜息が漏れるほどだった。

また、イベントのトリはアニメ「ソードアート・オンライン」主題歌等で人気の LiSA さんによるアコースティックライブがこのステージ上で行われ、イベントを締めくくった。(※残念ながら諸般の事情により写真撮影は不可…)

 

未来創造展 2016

▲こちらは会場全体を撮影したもの。もはや1専門学校のイベントを逸脱した規模だ。

 

大賞受賞者はハワイ旅行にヨーロッパ一周旅行!? 後援企業賞にカプコン、任天堂、マイクロソフト等も

 

未来創造展 2016

 

「未来創造展」のクライマックスは、ステージで行われる各賞の発表・表彰だ。優秀な作品には後援企業や講師陣からの特別賞、そして銅賞・銀賞・大賞が授与される。また、大賞作品の制作者・チームにはグアム旅行、ハワイ旅行、そしてヨーロッパ一周旅行(航空券はもちろん、滞在費用まで込みで!)といった豪華な副賞も贈呈された。

ゲーム部門の受賞作はいずれも群を抜いてクオリティが高く、商品化されてもおかしくないような出来のものも。それでは、ゲーム関連の受賞作品をご紹介しよう。

 

2年制部門 マイクロソフト賞:「無限変化の触れる部屋で、じぃさま、ばぁさまの大冒険!」

未来創造展 2016

 

2年制のチームからゲーム学科で唯一の受賞を獲得したのは、様々な変化や起伏が起こるバーチャルルームの中でオブジェクトを拾って相手に投げつけたりして戦う4人対戦アクションゲームだ。高齢者にも飽きさせない展開と簡単かつ爽快なゲーム性が売りだ。

 

4年制部門 カプコン賞:「ローラースケートでけいどろ?! 土地勘を活かし駆け回れ!」

未来創造展 2016

 

警察チーム・どろぼうチームに分かれ4対4で仮想空間の中で繰り広げられる「けいどろ」のゲームだ。プレイヤーキャラはローラースケートを履いており、高速で街の中を移動することができて、スピードの疾走感は各作品の中でも随一だった。けいどろという誰でも知っているゲームで皆でわいわい対戦を楽しめるというところは「ストリートファイター」や「モンハン」のカプコンらしいチョイスかも。

 

4年制部門 マイクロソフト賞:「いつでもどこでも大相撲! バーチャル相撲番付 HAL 場所」

未来創造展 2016

未来創造展 2016 未来創造展 2016

 

センサーを用いた簡単な相撲ゲーム(力士は 3D CG で描かれており、白鳳等の実名力士が登場)をプレイすると、その結果に応じてサーバ上で勝敗が集計され、自分のスマホに番付情報が配信されるというサービス。勝敗結果を新聞風に配信したり、バーチャル相撲を力士と観客の立場から楽しめる。正直に言うと相撲ゲームの部分の出来はいまいちだったが、相撲ファンには喜ばれそうなサービスだ。

 

任天堂賞:「長年の絆で魂を吹き込め! シニアの音頭で舞えや、ねぶたロボ!」

未来創造展 2016

 

ゲーム学科の学生なら一番欲しいのでは!? 栄えある任天堂賞は、協力プレイのリズムゲーム『親玄(しんくろ)舞踏会』が獲得した。

 

HAL 東京 4年制部門 銅賞:「未来都市をガーデニング! ジェネティック・バイクで“まち直し”」

未来創造展 2016 未来創造展 2016

 

タイトルだけ見るとほんわかしたゲームを彷彿させるが、実際はゴリゴリの FPS ゲーム『BLOSSOMAN』が銅賞を受賞。非常にクオリティの高いグラフィックで描かれた荒廃した街の中をバイクで進みながら、壁や地面を撃って種をまき街を植物で満たしていくという内容で、通常のコントローラでプレイするバージョンと、Oculus Rift と腕につけるモーションコントローラでより臨場感のある VR バージョンの2タイプが出展された。

 

未来創造展 2016

 

ゲーム部門ではないがゲーム的で面白かった受賞作品もいくつかご紹介しておこう。

HAL 東京 2年制部門 HAL 大賞:「皺の数だけ盛り上がれ! ZiZi Rock Festival!」

未来創造展 2016 未来創造展 2016

 

2年制部門の HAL 大賞を受賞したのは、演奏アシストロボ「KANADE」を使い、誰でも簡単にロックミュージックを楽しめる、という電子制御学科による作品。「KANADE」は往年のギタータイプのリズムゲームを彷彿させるシステムだ。

 

日本電気賞:「巨大なバーチャル盆栽で高齢者の想像力を支援する!」

未来創造展 2016

 

画面上に CG で表示される「バーチャル盆栽」をコントローラを使って画面上で剪定し盆栽を作り上げていく。盆栽の CG がよりリアルで高精細になればニーズは高そう。

 

そして、栄光の HAL 大賞を受賞したゲーム作品がこちら!

HAL 東京 4年制部門 HAL 大賞:「もうただの杖じゃない! 未来のステッキでアクティブな移動を!」

未来創造展 2016

未来創造展 2016

未来創造展 2016

 

杖を画面で操り、画面内のマス目を自分の色で塗り潰していくという 2P 対戦アクションゲーム『UVER』。特筆すべきは、スマホを取り付けて使用する専用“杖型”コントローラだ。スマホの加速度センサー・ジャイロセンサーを使い、実際に杖を傾けることでその動きに合わせて画面内の「杖」が動くという操作方法は、お年寄りが日常的に使うアイテムをかなり上手く活用したものだ。ゲーム以外にも色々なコンテンツ・サービスで利用できそう。

 

未来創造展 2016

未来創造展 2016 未来創造展 2016

 

また、ゲームも非常によくできており、相手と交戦しながら陣地を取り合うというシンプルながらもアツくさせるゲームシステム、スムーズなキャラの動き、そしてポップなグラフィックのクオリティ。そのどれもが非常にレベルが高く、商品化してもいいのでは?と言ってもいいほどのもので、大賞受賞も納得の作品だ。

 

新機軸・新感覚! 若いパワーが産み出した「高齢化社会」で楽しむゲームをご紹介

 

もちろん受賞作品以外にも数々の意欲的な学生作品が展示され、来場者はゲームショーさながらに試遊を楽しんでいた。ゲーム関連学科の学生のものだけでも20以上もの作品がプレイアブル出展されていたので、中でも特に 9-Bit が注目した一部作品をご紹介しよう。

 

▼Kinect や Wii リモコン を使ったジェスチャーコントロールを用いたゲームは、お年寄りやゲームに親しみの薄い層にも直感的に操作できるという事情もあってか、複数出展されていた。日本の住宅事情を考えると、単純に「身体を動かして操作する」以外の使い方が求められるところだが…

未来創造展 2016 未来創造展 2016

 

▼中には「水芸」といった斬新なテーマの新感覚のジェスチャーゲームも。ゲーム性はまだまだ、というものも多くあったが、尖った感性のアイディアには脱帽だ。

未来創造展 2016

 

▼もう1つの象徴的な流れが、「協力・対戦プレイ」だ。コミュニケーションの機会が少なくなりがちな高齢者が友人や子供・孫と触れ合える機会を創出しようというコンセプトが感じられるゲームが多かったように感じた。

未来創造展 2016 未来創造展 2016

 

▼中には「子供キャラ4体 vs 悪魔的に強い老人キャラ1体」という変則対戦アクションゲームも。「若い者には負けん!!!」の行き過ぎた表現か。

未来創造展 2016

 

▼手と指の動きを検知してコントロールすることができるデバイス「Leap Motion」を使った新感覚のシューティングゲーム『アンサーライブラリ』。下に置いてある本型コントローラの上で手を動かしてターゲットをロックオンし、掴むと弾を撃つという操作感は斬新。

未来創造展 2016 未来創造展 2016

 

▼トントン叩いて戦う「紙相撲」をゲーム化した意欲作『紙プロレス』。ゲームキューブ用コンガ型コントローラ「タルコンガ」を使い、トントン操作を実現するという正に「枯れた技術の水平思考」! トントンしてパワーを溜めるフェーズと攻防のフェーズが分かれており、攻防フェーズでは派手な必殺技を繰り広げることも可能なのだが、2つのフェーズに分けてしまうことでゲームのテンポを欠いてしまったのが残念。個人的にはもっと煮詰めて商品化してもらいたい一作。

未来創造展 2016 未来創造展 2016

 

▼音ゲーは数あれど、まさかの「演歌の振り付け」をテーマにした音ゲーも登場。単調なアクションになりがち、モーションのバリエーションが少ないといった課題をクリアすれば化けるか!?

未来創造展 2016

 

▼チームによってはメンバー全員でお揃いのコスチュームを着ているところも。こういうところは「学祭」っぽくて楽しそう。

未来創造展 2016

 

もしかしたら今回展示されたものの中から将来製品化されるものが出てくるかも!? ゲームの“青田買い”が好きなアーリー・アダプターのゲーマー諸氏ならば「未来創造展」は必見のイベントだ!

 

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