2015年07月31日(金) 12時10分
  • INTERVIEW

【Creator’s Voice】「次世代脱出ゲーム」の作り方教えます-トランスコスモス株式会社『実写!樹海からの脱出~ミステリー脱出ゲーム~』開発者インタビュー

「渋三あっぷす」ブランドでカジュアルゲームをリリースしてきたトランスコスモスから異色の脱出ゲームが配信開始された。実写を用いたストーリー重視の「次世代脱出ゲーム」と標榜される『実写!樹海からの脱出~ミステリー脱出ゲーム~』の裏側を開発陣が語った。

 

実写 樹海からの脱出 ~ミステリーホラー系脱出ゲーム~

▲(右)トランスコスモス株式会社 インターネットプロモーションサービス本部 スマートメディア部 エンターテインメント課 チーフディレクター 前田 央 氏
(左)同 辻野 優 氏

 

『実写!樹海からの脱出~ミステリー脱出ゲーム~』の紹介はこちら。

 

“ストーリー性”を重視した「脱出ゲーム」は何故難産だったのか-シナリオとギミックの両立のために選んだ“変化球”

 

9-Bit:『実写!樹海からの脱出~ミステリー脱出ゲーム~』(以下『樹海からの脱出』)はその名の通り「実写」を用いた脱出ゲームという、従来のスマホの脱出ゲームとは少し異色のゲームです。このゲームを開発した経緯を教えてください。

 

辻野:「次世代の脱出ゲーム」を作ろうという事で、従来の脱出ゲームにはあまりなかった「ストーリー重視」「迷路」、そして「実写」という3つのキーワードをベースに企画に着手しまして、当初は樹海を舞台に、その中を巡って樹海から脱出するという内容でした。最初はホラーではなくてミステリー物で、迷路状になっている20以上のシーンを巡ってヒントを探していくというゲームだったんです。ところが、実際に出来上がったプロトタイプをプレイしてみたら、これが全然ダメで…

 

9-Bit:どういうところが「ダメ」だったんですか。

 

辻野:20以上のシーンが迷路状になっていて、当初は最初から全てのシーンを回ることができるようになっていたので、自分がどこにいるのかわからないんですね。そんな中をアイテムを探して歩き回らなければならなくて、ひたすらアイテムを探すという「作業感」と中々見つからない時の「徒労感」が強くて… そんな感じだったので、ゲームとしての面白さよりもリアルに樹海に取り残されているような「絶望感」しか感じられず、これではほとんどのプレイヤーが途中で離脱してしまうな、と思いました。

 

9-Bit:なるほど、広大なステージの中をひたすらアイテムを求めて歩き回る、というのは確かに嫌になっちゃいますね。

 

辻野:脱出ゲーム+迷路、というのは斬新なんじゃないかと思っていたんですけどね… ゲームとして面白くなければダメですので、シーンを5、6個ずつに区切って、1つのエリアの謎を全て解いたら次のエリアのシーンを開放するというマップ開放制に変更して現在の形になりました。

 

9-Bit:ストーリーはどのようにして作られたのでしょうか。

 

辻野:当初はシナリオライターに依頼するつもりだったのですが、謎やヒントとストーリーとの連動を緻密に組み上げていきたかったので、ゲームの企画を考えながら自分でシナリオを書きました。

 

実写 樹海からの脱出 ~ミステリーホラー系脱出ゲーム~

 

9-Bit:ストーリーを作る中で苦労したのはどういうところですか。

 

辻野:実は私はアメリカ生まれで、10歳の頃まで海外に住んでいたんです。なので、本当は国語が苦手で…(笑) ですので、言葉の選び方やロジックにはかなり苦労しました。ストーリーやセリフに謎を含ませたり伏線を張ったり、というのも苦労した点です。

 

前田:ゲームの仕掛けと物語の両面から考えなければならないので、後で見るとストーリーの整合性が取れていないところも出てきたりもしましたので、辻野が組み上げたシナリオを私が第三者の視点からおかしい箇所がないかチェックして修正したり、ギリギリまで単語の1つ1つを検証・変更したり、という事を重ねてストーリーを練り上げました。

 

9-Bit:ストーリーに関してはかなり時間と労力がかかっているようですね。

 

前田:そうですね。ゲーム自体はカジュアルゲームですからストーリーや文章のボリュームは然程多くはないんですよ。ですが、裏設定や見えない部分のストーリーはそれこそ小説1本書き上げるくらいのボリュームまで作りましたので、たった1行の文章でも工夫することでその分厚いストーリーや世界観を伝えられないか、という事を意識してストーリーを作っています。

 

辻野:謎を解いていく上でも、文章やセリフ、ストーリーが重要なカギになっています。ちょっとしたセリフでも、読み飛ばしてしまうと実はそこに重要なヒントが隠されていたり… 中でも難易度の高い謎で、3つのメモに書かれた謎を解くシーンがあるんですね。これはしっかりストーリーを読んでいないと解くのは中々難しいのではないかと思います。

 

9-Bit:脱出ゲームと言うとただ闇雲にタップするだけのゲームも多い中で、そこまでストーリーにこだわりを持って作られているのは珍しいですよね。

 

前田:ええ、ですから、脱出ゲームが好きな人にはもちろん、小説や映画、ドラマが好きな人にも一度触ってみていただきたいですね。

 

実写 樹海からの脱出 ~ミステリーホラー系脱出ゲーム~

 

全シーンを実写で表現-ゲームプランナーが初ゲーム制作で“モデル”デビュー

 

9-Bit:もう1つのこだわりである「実写」についてですが、『樹海からの脱出』は全編写真でシーンが構成されていますね。これはどのように撮影されたのでしょうか。

 

辻野:写真は全て自分達で撮影したものです。カメラマンとドライバー、演者が2名、それと前田の5人でロケ隊を組んで、樹海さながらのとある森林や、某神社、都内の街中やアパートに実際に行って撮影しました。この部屋(※インタビューを行った会議室)でも撮りましたね。

 

9-Bit:あれ? 辻野さんはロケには行かなかったんですか?

 

辻野:あ、僕は演者として、です。

 

9-Bit:えっ、じゃあゲーム内に登場するキャラって…

 

辻野:男は僕が演じてます(笑)。ヒロインのアイナも、当社の女性社員が演じてるんです。物語の中の役柄を実際に自分で演じるというのは初めての経験でしたので、面白かったですよ(笑)。

 

9-Bit:辻野さんは企画、執筆家としてだけじゃなく、モデルとしても本作の制作に携わっているというわけですね(笑)。撮影ではどういうところで苦労されましたか。

 

前田:屋外のシーンが多いですから、想定の天気になったら現地に行って…という感じで何度もロケに行くことになりましたので、撮影期間は結構かかりました。全てのシーンを撮影するのに3ヶ月くらいはかかっています。

 

9-Bit:実際に屋外の現場まで行かないと撮影できないわけですから、それは大変ですね。ゲーム内のシーンを見ると、いかにも「樹海」らしいおどろおどろしいシーンが満載ですが、現地での撮影はどんな感じだったんでしょうか。

 

辻野:でも、撮影は昨年の夏頃に行ったんですが、実際はとても清々しくて気持ちが良い所なんですよ。それでもさすがに夕方4時くらいになるとだいぶ暗くなってしまうので、1日の内で撮影できる時間が短くて大変でした。それと、森林内にある洞穴の中でも撮影したんですが、夏なのに息が白くなるくらい寒かったんですよ。パーカーを着ていても寒くて… そこでの撮影はきつかったです(笑)。

 

9-Bit:そこまでやったからこそ、あのリアル感が出ているんでしょうね。

 

前田:「リアリティ」には一番こだわりましたからね。ストーリーも、ビジュアルも。練り上げたストーリーのリアリティと、実写が出すリアリティとインパクトをぜひ楽しんでいただきたいです。

 

実写 樹海からの脱出 ~ミステリーホラー系脱出ゲーム~

実写 樹海からの脱出 ~ミステリーホラー系脱出ゲーム~

▲上の写真が実際に現地で撮影されたもの、下がその写真を元に作られたゲーム画面。実際の写真を見ると木漏れ日に映える緑が美しい場所だが、ゲーム内では暗い色調に調整され、その緑も異様さを醸し出す。画面中央に象徴的に存在する木からも禍々しさが感じられるほどだ。

 

実写脱出ゲームシリーズ第2弾も決定! トランスコスモスのゲームアプリ戦略

 

9-Bit:「実写」と「ストーリー」の脱出ゲームというのは面白いコンセプトだと思うのですが、シリーズ化の予定はありますか。

 

辻野:実は「実写脱出ゲーム」の第2弾が現在事前登録受付中となっています。

 

9-Bit:早くも次のタイトルが配信される予定なんですね! 第2弾はどのような内容なんでしょうか。

 

辻野:次回作は『樹海からの脱出』のようなホラー・サスペンスではなく、全く毛色の異なるストーリーで、「恋愛もの」なんです。東京タワーを舞台にした恋愛ストーリーになります。

 

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9-Bit:実写「恋愛」脱出ゲームというわけですね。これはまた新しい挑戦になりそうですが…

 

前田:モバイルカジュアルゲームというジャンルは、最近は新しいものがあまり出なくなってしまっていてゲームのジャンルとして閉塞感のようなものがあると感じているんです。当社は「渋三あっぷす」というブランドでカジュアルゲームを作り続けてきましたから、カジュアルゲームメーカーの1ブランドとしてそういった閉塞感を打ち破るような、新しい「次世代」のカジュアルゲームを目指して実写脱出ゲームをはじめ、色々な挑戦をしていきたいですね。

 

実写 樹海からの脱出 ~ミステリーホラー系脱出ゲーム~

 

謎の男から逃れて、深い樹海の闇から脱出できるか…!?『実写!樹海からの脱出~ミステリー脱出ゲーム~』

 

実写 樹海からの脱出 ~ミステリーホラー系脱出ゲーム~

 

ある日、恋人のアイナと共に樹海に閉じ込められてしまった主人公。はぐれたアイナを見つけ、無事に樹海から脱出することができるのか…!? 樹海の各所に散らばるヒントアイテムを探し、数々の謎を解いてエンディングを目指そう。

 

実写 樹海からの脱出 ~ミステリーホラー系脱出ゲーム~

 

実写 樹海からの脱出 ~ミステリーホラー系脱出ゲーム~

▲最初の章では、5つに千切れた写真の切れ端を探すことになる。怪しそうな所を見つけたらタップしてみよう。この場面では、右上に表示されたアイテムを選択した状態である場所をタップすると…

 

実写 樹海からの脱出 ~ミステリーホラー系脱出ゲーム~

▲各シーンへの移動はマップ画面で行う。

 

実写 樹海からの脱出 ~ミステリーホラー系脱出ゲーム~

▲アイテムを見つけたら所持品画面でチェックしよう。アイテムをダブルタップすると、新たなアイテムが中から発見できることも… アイテムの合成をする場合は、1つ目のアイテムが表示された状態で拡大表示されているアイコンをダブルタップしてから2つ目のアイテムを選択しよう。

 

樹海には主人公に襲いかかる謎の男や不気味な“何か”が存在する。彼らの正体は一体…?

 

実写 樹海からの脱出 ~ミステリーホラー系脱出ゲーム~

▲謎の男が主人公に迫る…ッ!!! アイナの身に危険が…!?

 

実写 樹海からの脱出 ~ミステリーホラー系脱出ゲーム~

▲樹海で助けた不気味な子ども。彼が欲しがっている物とは果たして…?

 

物語は複数の章に分かれており、各章の終わりには難易度の高い謎も登場する。メモの謎を解くヒントはゲーム中で語られるストーリーやセリフに隠されていることが多いので、注意深くストーリーを読み進めていくのが攻略のカギだ。

 

実写 樹海からの脱出 ~ミステリーホラー系脱出ゲーム~

 

全てを知った主人公が目にする真実とは…!?

 

実写 樹海からの脱出 ~ミステリーホラー系脱出ゲーム~

 

闇雲にタップするだけではクリアは困難な本作、今までの「脱出ゲーム」とは異なる、スマホならではの「モバイルアドベンチャーゲーム」の形の1つと言ってもいいだろう。脱出ゲームにはあまり興味がなかったというユーザーにもぜひプレイしていただきたい一作だ。

 

実写!樹海からの脱出~ミステリー脱出ゲーム~ アイコン

タイトル 実写!樹海からの脱出~ミステリー脱出ゲーム~
開発 トランスコスモス株式会社
ジャンル 脱出ゲーム
掲載時価格 無料
公式サイト 渋三あっぷす

 

 

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