2013年06月03日(月) 19時06分
  • REVIEW

これは、感動の成長物語である。 ジョークソフトと侮るな!冗談抜きのハイクオリティRPG『あなたってよく見るとドブネズミみたいな顔してるわね』

周囲になじめず陰でコソコソ言われることに定評のある皆様に、総勢100人ものキャラクターと繰り広げる、血で血を洗う壮絶な「友達100人できるかな」型RPG『あなたってよく見るとドブネズミみたいな顔してるわね』をご紹介。

 

 

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これは、感動の成長物語である

 

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過去のトラウマから人付き合いが苦手となってしまった勇者様が、魔王討伐の冒険に出発するため、まずは「仲間作り」という「全裸でエベレスト登頂」並のハードな罰ゲームに挑む本作。タイトルやゲーム設定からもわかるように、このゲームは100%ジョークソフトであるが、正直筆者は笑うよりも素直に感心してしまった。

人によっては本気で感動してもおかしくない「主人公の成長物語」としての完成度の高さ。ゲーム内に明示された「一つの主題」を巡り、最後のカタルシスに向けてディティールにこだわって丁寧に作り上げられた「物語」は、「やってまえ」精神のノリだけで作ったジョークソフトでは絶対にたどり着けないクオリティ。

もちろん普通に「ジョークソフト」として存分に楽しめるのだが、めんどくさいタチの筆者個人としてはまず「物語」の完成度に対し拍手を送りたい。

 

王様、すでに勇者様の目が死んでます

 

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誕生日を迎えた勇者が、復活した魔王討伐のため王様から呼び出されるという「まんまドラ●エ3」の導入から始まるこのゲーム。しかしネタ元と異なるのは、この勇者様「期待の新ヒーロー☆」なんかではなく、どうも周りから陰口叩かれているようで…。

 

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主人公が「はい」と「いいえ」しかしゃべらないドラクエシステムを逆手に取った「コミュ障」設定の勇者様に詰め寄る王様。王様、それ以上いけない。

しかし王様、手綱を緩めることなく怒涛の「励まし」という名のハートブレイクショットを連発。冒険前なのにとっくに勇者様のライフはゼロよ。トドメに王様、陰口叩かれても勇者なんだから気にせず、酒場で仲間を探してこいと命じる。

いくら「写真には写らない美しさがある」といわれても、外見がドブネズミと言われればさすがに気にするなというのは無理な相談。

自分が教室に入った瞬間、それまで盛り上がっていた空気が一転コソコソっとよそよそしい雰囲気になる「あの瞬間」が酒場でも訪れることを想像すると、そのまま笑顔で樹海に足を向けても仕方がないと思えるが、そこはさすが勇者様、果敢にも酒場での「友達作り」に挑んでいく。

 

世界は、殺し合いのようなキャッチボールなんだ…

 

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酒場に入るとフロアに複数のキャラクターたちがいて、それぞれタッチして勧誘していくことになる。

勧誘方法は、勇者が「相手の心にひびく言葉」を、相手は「勇者の心を深くえぐる言葉」を呪文として使用し、相手のHPをゼロにするまで投げつけあうコマンド制バトル。文字通り「殺し合いのようなキャッチボール」である(by 大槻ケンヂ)。

 

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どの呪文が相手に刺さるかはキャラクターによって異なり、勧誘の確認画面で対象キャラがしゃべっている内容から類推して、適切な言葉を選ぶことで大ダメージを与えることができる。説得に成功すると対象キャラをパーティーメンバーに加えることができ、新たな、かつ大抵ろくでもない「呪文」を思いついていく。

 

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またフロアのキャラクターを全員説得すると、次のフロアへ進める「大人の階段」が現れ、主人公は「大人の階段を上る」ことでレベルアップしていく。完全無欠のアホシステムである。素晴らしい。

 

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投げつける言葉を間違うと低ダメしか与えられず、中には相手を怒らせる言葉もある。相手を怒らせると、それだけで「嫌われたかなぁ」なんて深く傷つくコミュ障勇者。HP1となるカウンターを喰らい、挙句立て続けに浴びせられる罵詈雑言。勇者でなくとも「お前ら一度道徳の授業を受けなおしてこい!」と涙ながらに訴えかけることだろう。

 

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パーティーメンバーが生き残っていても、勇者が死亡するとその時点で勧誘失敗。勇者は1階まで戻され、酒場の女主人ドレアから「あなた しんでたわよ」というまったく感情のこもっていない一言を浴びせられる。この世界にやさしい人間は一人もいないのか。

ただ、旧バージョンでは死んだらお金が半分になったのだが、現バージョンではお金がそのまま残るようになっていて、また一度到達したフロアには1階から直接行けるので死ぬことのデメリットは、投げつけられた言葉で心に傷が残る以外には、まあ正直あまりない。

ではなぜ現在ではお金がそのまま残る設計になったのか。それは案外このゲームが難しいからだ。

 

装備を充実させ、補助魔法を駆使

 

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全30ステージ、総勢100人ものキャラクターとの血で血を洗う壮絶な「友達100人できるかな」作戦は、序盤はなんてことないが中盤以降難易度が上昇していく。

パーティーメンバーには命令できず、回復してほしい場面であってもド●クエ4で延々とザ●キを連発するアイツのごとく相手を怒らせる呪文を連発してカウンター喰らいまくり。

さらにレベルアップするのは勇者のみで、他のキャラは上のフロアほどレベルが高くなるので、「仲良しのパーティーメンバーで一緒に☆」なんて甘いこと言ってないで「使えない友達の入れ替え作業」を行っていかないと瞬殺されることもしばしば。

 

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酒場からは武器防具やアイテム購入、「自動販売機」でランダムにアイテムを手に入れることもできるのだが、お値段は割高だし、5階ごとに「じゅもん」ではなく「こうげき」が効果的なキャラも登場し、装備を充実させないと勝てないので、筆者はなかなかアイテムにお金を回すことができなかった。

筆者の攻略法は「先手必勝&補助魔法でパラメータアップ」で、まず相手の呪文攻撃力、続いてスピードを下げ、こちらの呪文攻撃力をアップさせてから常に先手を取れるようにして何とか勝ち進んでいった。もちろん武器防具は最強で、相手の心にひびく呪文連発が絶対条件。

 

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どんな呪文が相手に響くのか。正解が難しい質問には無言が正解となる場合もあるだろう。これまで勇者に良くしてくれたキャラには感謝の言葉を贈るべきだろう。ヒントはきちんと隠されている。

 

感動のフィナーレは、自分の目で

 

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そうしてやっとたどり着いた最終階、勇者を迎え撃つのは…。これは是非とも皆様自身の目で確認してほしい。このゲームのタイトルの意味、そして勇者が成長していく「物語」の結末を。

もちろん「結局リア充物語じゃねえか」とか、「いくらなんでもあんなこと言ったやつ許すのはどうなの?」などなど、人によっては「物語」の結末に不満を抱く人もいるだろう。というか筆者自身、別の理由ではあるが、実は結末としてはあんま好みじゃなかったり。

 

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だがそれは完全に「好みの問題」であって、本作の「物語としての完成度」を揺るがせるものではない。ゲーム内のディティールが無駄なく、本作のテーマ「主人公の成長物語」に結びついたその完成度の高さは素直に感心した。ジョークテイストじゃない物語でもこの人たち絶対うまくつくると思う。

あとは呪文がずらーっと並んでいるのは、まあドラクエチックではあるんだけど、カテゴリ分けとかしてほしかったなぁとか、下の広告バナーを頻繁にタッチしてしまうようなつくりとか、ゲームシステム的な不満点もないわけではないが、それでもぶーぶー言いながら存分に楽しんだ。

昔ながらの「物語」を楽しみたいRPGファンにはもちろんのこと、冴えない男が罵詈雑言を浴びて本気でへこんでいる姿を嘲笑いたいリア充な方、常日頃なんだか陰でクスクス笑われているような気がする皆様にもおススメの一本だ。みんな、ガンバっ!

 

タイトル あなたってよく見るとドブネズミみたいな顔してるわね
開発 Takeshi Hamanaka
ジャンル RPG
掲載時価格 無料
公式サイト Takeshi Hamanaka

 

 

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